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タイ、中国関連経済区に住民反発

Japan In-depth / 2020年12月21日 11時0分

■ 2023年完成めざす6,600エーカーの計画





地元メディアなどによると、ソンクラー県の東部、タイ湾(シャム湾)に面するチャナ郡に計画されている経済産業区は2019年5月に開発計画が政府の承認を受け、タイ深南部での開発を手掛けるデベロッパー、電力会社、石油・石油化学関連企業などが参加を表明。2020年1月21日にプラユット内閣が計画着工を認め、2021年初めから環境アセスメントが始まることになっている。





計画では6,621エーカーの土地、港湾施設、関連の陸上交通網整備、発電所建設などで総額6億1,880万米ドルに上り、2023年の完成を目指しているという。





同開発計画に関わる企業体などは「地元チャナ郡だけでなく周辺地域の経済活性化、住民の貧困脱出にも大きく貢献できる計画であり、完成すれば約10万人の雇用が見込める」とその経済効果を強調している。





タイ深南部のソンクラー県をはじめとするパッタニー県、ヤラー県、ナラティワート県の4県は少数派イスラム教徒が独立を目指して政府軍と武装闘争、爆弾テロを長年続けており、2004年以降で約7,000人が殺害されているという。





こうしたタイ深南部の治安状況が経済不況や貧困化を招き、地域の約200万人の人口のうち毎年約5万人が失業者となり、国境を越えてマレーシアに職を求めて越境しているのが実態という。





■ 環境・生活へ影響、さらに中国への警戒





中央政府が進めるチャナ郡の経済産業区計画に反対するチャナ郡の住民約50人は12月9日に首都バンコクに到着し、プラユット首相の首相府付近で抗議集会と政権幹部との面会を求める座り込みを始めた。





▲写真 プラユット首相(2018年11月14日) 出典:ロシア大統領府



反対運動リーダーの一人はメディアに対して「この計画ではチャナ郡の自然環境のみならず、計画敷地内にある3集落住民の生活環境も大きく破壊される。即刻計画も環境アセスも中断して白紙に戻すべきだ」と反対理由を強調する。





さらに計画には中国からの多額の投資が見込まれているほか、接続する高速鉄道網でも中国が参入すると伝えられていることなどから「経済産業区として開発されてもいずれ外国に売却される懸念があり、チャナ郡は中国進出の基盤、拠点になりかねない」と中国の影響への危惧を明らかにする。





武装闘争やテロ問題で治安回復が急務のタイ深南部で進む経済産業区の計画そのものは地域経済の再生、雇用創出に大きく貢献するといえるだろうが、チャナ郡のケースは中国投資家や「一帯一路」に絡むインフラ整備計画への中国の影という「中国懸念要素」が露呈したことで住民の反対気運がさらに高まる結果となっているのが実状といえる。





プラユット政権としてはタイ深南部の治安安定と経済再生の切り札として進めようとしていたこの経済産業区計画といわれるが、住民による予想外の反対運動に直面して、中国投資家や中国系企業との関係にも配慮しながらの今後の対応が注目されている。





トップ写真:タイ・ソンクラー県 出典:タイ政府観光庁日本事務所公式ホームページ




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