米新政権のアジア政策注視【2021年を占う!】東南アジア
Japan In-depth / 2020年12月27日 19時0分
コロナ禍でオンライン開催となった2020年11月の米ASEAN首脳会議、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)サミットも代理出席した米に対しASEAN各国は「米政府はもはやASEAN外交には熱心ではない」と冷めた見方をしているのが実情である。
実際2019年11月の米ASEAN首脳会議にトランプ大統領が欠席した際にはASEANの議長国などを除く7カ国の首脳が同じように会議を欠席して「米への抗議姿勢」をあからさまに示したこともあった。
▲写真 トランプ大統領 出典Flickr; Gage Skidmore
■日米豪印の枠組みには慎重姿勢だが
こうした中、10月には菅義偉首相に次いでポンペオ米国務長官がインドネシアとベトナムを訪問し、日米豪印4カ国(クアッド)が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想への理解と支持を求めた。
インドネシアとベトナムは共に南シナ海問題や中国の経済支援、インフラ整備協力などで中国との関係を維持する一方で、カンボジアやラオスのような「中国べったりの親中外交」とは距離を置いている。
中国などからは「西太平洋条約(NATO)のアジア太平洋版となる軍事同盟だ」との批判もでているクアッドの構想ではあるが、ASEAN、特に対米、対中で等距離外国を取りたい各国にしてみれば直接の利害や権益が関係する南シナ海やマラッカ海峡などへの関心は極めて高いものの、大国が関与する「インド太平洋」構想には直接組み込まれたくないというのが真意である。
だが、今後バイデン新政権がトランプ政権とは大きく異なるASEAN重視の政策を実質的な行動とともに打ち出すならば、その延長線上での「インド太平洋」構想への積極的とまではいかないまでも、関与を表明することへの障壁は取り除かれる可能性もあるだろう。
■各国の国内問題とコロナ
フィリピンのドゥテルテ政権は南シナ海問題やコロナワクチン確保、さらに国内での中国人労働者問題、麻薬やテロとの戦いで中国寄りの姿勢を時に示しながらも、米国との関係強化の糸口を探っている。
米軍がフィリピン国内で軍事演習に参加する際の「訪問米軍地位協定(VFA)」の廃棄方針を打ち出しながらも、廃棄の延長を続けていることはそのひとつの証左ともいえる。
ドゥテルテ大統領もインドネシアやベトナムと同様に中国一辺倒の外交になることを危惧して、米国のさらなるASEAN特にフィリピンへの政治的、経済的な関与を期待しているのだ。
▲写真 ドゥテルテ大統領 出典:Wikimedia Commons; Addustour, Jordan Press & Publication Co.
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