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危機深まる金正恩体制【2021年を占う!】北朝鮮

Japan In-depth / 2020年12月30日 11時59分

■ 金正恩政権を揺さぶる最悪の経済状況





2017年から強化された国連安保理制裁と米国の独自制裁に新型コロナウイルス防疫での国境封鎖が重なったことで、悪化傾向にあった北朝鮮経済は、金正恩政権始まって以来の危機に陥った。





目玉政策の「元山カルマ観光リゾート建設」や「平壌総合病院建設」もいまだに未完成状態にある。5月1日に金正恩委員長が直々にオープニングセレモニーを行った「順川肥料工場」も稼働できないままだ。もちろん他の主要企業も稼働率は下がり続け、操業中断が相次いでいる。





貿易面でも中朝貿易は激減した。北朝鮮の中国からの輸入額は9月の1,888万2,000ドルから、10月はわずか25万3,000ドルにまで落ち込んだ。これは前年同月の0.13%に過ぎない。





こうしたことから国際格付け会社のフィッチは2020年の北朝鮮経済成長率をマイナス10%と診断した。これは、1990年代の「苦難の行軍」時期のマイナス6%を遥かに下回るものだ。





新型コロナウイルスだけではない。7月末から9月初旬にかけて、歴史的な集中豪雨と台風8、9、10号が北朝鮮を襲った。その結果、黄海道、咸鏡南北道、江原道をはじめとした北朝鮮全域に甚大な被害がもたらされた。穀倉地帯と鉱山地帯が同時に打撃を受けたことで、食糧生産と外貨獲得の鉱物資源輸出に深刻な影響が出ている。





2020年の北朝鮮食糧生産は400万トン台前半に逆戻りすることが予想される。このままでは来年の春窮期に食糧不足が頂点に達するのではと危惧されている。





■ 揺らぐ金正恩の統治システム





経済制裁と新型コロナウイルス、それに自然災害が重なった3重苦は、金正恩を苦しめその健康状態だけでなく思考力までも蝕み始めている。





金正恩の異常心理は、まず新型コロナウイルスに対する過剰な恐怖心として現れている。恐怖心からか、金正恩公開活動は、2020年初めから11月19日現在まででわずか53回と2013年の212回に比べて4分の1にまで減った。しかもその半数は党の会議を指導したもので、経済視察はわずか3回に過ぎず、対外活動に至っては0回だった。北朝鮮では感染者が0人だとしながら、この公開行動の萎縮はどう見ても異常だ。





公開活動の激減に反比例して急増しているのが人事異動と粛清だ。韓国統一部によると、昨年末から今年にかけて党、政府、軍の幹部80%が交代したという。軍団長はほとんど入れ替えられた。また金正恩の身辺警護部隊も新たに創設された。





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