米新政権の対ベネズエラ、キューバ政策に注目【2021年を占う!】中南米
Japan In-depth / 2020年12月30日 23時0分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・マドゥロ大統領、独裁傾向を強め、グアイド国会議長は地位を失う。
・キューバ、カストロ党第一書記が完全引退する見通し。
・中南米各国にとって経済の再建が2021年の最重要課題。
■独裁強めるマドゥロ政権にどう対応するか
2021年の中南米情勢ではまず、年明け早々ベネズエラの動向に大きな関心が集まる。同国では先ごろ、反米左翼のマドゥロ大統領が主要野党のボイコット表明を無視し、国会議員選挙を強行。与党側が国会で圧倒的多数を占めことになった。
この結果、マドゥロ大統領は国会を含め全権を掌握、独裁傾向を一段と強める見通しである。これまで欧米各国から「暫定大統領」として認められていたグアイド国会議長は新国会発足の1月5日をもってその地位を失い、政治的影響力が低下するのは必至。
マドゥロ大統領は米国に対し対話を呼びかけているが、1月20日にスタートするバイデン次期米政権は早速、その手腕を問われることになる。マドゥロ政権が米国の経済制裁や国内経済の疲弊にもかかわらず持ちこたえている大きな要因の一つはキューバの支援だ。
このキューバに対しバイデン次期大統領がトランプ政権の強硬方針から転換するとの見方が有力だが、ベネズエラ情勢やキューバの人権問題などからみて、そう簡単にコトは進まないだろう。
キューバでは4月に第8回共産党大会が開催され、実質的に最高権力を握る共産党トップのラウル・カストロ党第一書記(故フィデル・カストロ氏の弟)が完全引退する見通し。後任になると予想されるディアスカネル氏(大統領)の下で政治・経済改革が進められるかどうかも、今後の米・キューバ関係の行方を占う重要なカギになろう。
▲写真 プーチン大統領と握手を交わすラウル・カストロ党第一書記(左) 出典:ロシア大統領府
■米・ブラジル関係は悪化か、南米3国の大統領選も注目
中南米の大国ブラジルと米国の関係には変化が起きそうだ。“ブラジルのトランプ”との異名をとるほど、トランプ大統領との親和性が高かったボルソナロ・ブラジル大統領だが、「バイデン次期米大統領とのケミストリーは最悪」(ブラジル有力メディア)ともいわれるほど、この二人の指導者の政治姿勢の相違が目立つ。
気候変動対策を重視するバイデン氏がブラジルのアマゾン熱帯雨林伐採の加速化を批判する発言を繰り返したのに対し、ボルソナロ大統領は猛反発しており、この問題を皮切りに両国関係の悪化を予想する声が中南米メディアの間で広がっている。
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