「バイデンの米国」とどう向き合う?(上)【2021年を占う!】日米関係
Japan In-depth / 2021年1月2日 12時39分
ただ、2021年の予測ということに話を限れば、東シナ海の覇権争いが武力衝突に発展する可能性は、きわめて低い。
理由は簡単で、日米中三国とも新型コロナ禍の第二波・第三波を切り抜けるまでは、
「戦争などしている場合ではない」
からである。
1980年代にはアルゼンチンが、経済政策の行き詰まりに対する国民の不満を逸らそうと考えて、英国が実効支配していたマルビーナス群島(英国での呼称はフォークランド諸島)に軍隊を上陸させた。これが世に言うフォークランド紛争の発端であるが、現在の中国には、そのようなことをする必要性などない。
私自身、2010年代の終わり頃までは、劇画『空母いぶき』(かわぐちかいじ・著 小学館)のモチーフにもなったような、中国人民解放軍の過激分子が暴走する可能性を憂慮していたものだが、この間の各種情報を冷静に読む限り、彼らの第一の関心は軍事技術の向上で、
「遠からず物量・技術・技量すべての面で米軍を圧倒することができる」
という自信を深めつつあるように見受けられる。米国との物量差から、丁半バクチのような奇襲(真珠湾攻撃)を仕掛けた昭和の日本とも状況が大いに異なるのだ。
……このように述べると、またぞろ批判的なコメントが寄せられそうだ。
「米国が<世界の警察>の立場を放棄し<中国・ロシアとの分割支配>に移行するのを座して待てと言うつもりか」
というように。
私はもちろん、そのようには考えていない。ピンチはチャンスだという言葉があるが、バイデン政権がアジアにおける対中プレゼンス維持のため、日本にも経済的・軍事的な負担を求めてくるのであれば、日本側としても「見返り」を要求する根拠となり得る。
具体的な議論は、次回。
(下に続く)
トップ写真:ジョー・バイデン氏 出典:@JoeBiden
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