落ちた米国の品位と名誉

またその政治手法はツイッターを多用して直接国民に発信するやり方でそのメッセージ数は59,553回（※1）に達しており、その中には間違いも多かった。このため「我々のサービスを利用して暴力を煽ることは問題が大きい」とツイッター社やフェイスブック社などがトランプ氏のアカウントを凍結した。（※2）さらに教育庁長官、運輸庁長官ら閣僚とホワイトハウス高官らの辞任表明も相次いでいる。

バイデン次期大統領は「米国の品位を回復する」と勝利宣言で述べたが、アメリカが国際社会で名誉と指導的地位を回復することは容易ではないだろう。なぜならトランプ氏の得票数は7000万票を越し、アメリカは明らかに分断の様相を見せているからだ。

トランプ氏の出現は単に個人的な人気の結果ではなく、アメリカの潮流が変わったとみるべきなのだろう。バイデン氏が再びアメリカをかつての価値観に引き戻すことや、国際主義に則ったリーダーになることは容易でないと思える。

（※1）ソース：Social Blade( Donald J. Trump's Twitter Stats Summary Profile )トランプ大統領のツイッターが永久停止された1月9日のフォロワー数は88,783,411。

（※2）トランプ氏のSNSアカウントの無期限停止は1月7日にスナップのSnapchat（スナップチャット）を皮切りに、Twitter（ツイッター）、Facebook（フェイスブック）、Instagram（インスタグラム）、アマゾン傘下のTwitch（トゥイッチ）と続いた。さらに、同日付でグーグル傘下のYouTube（ユーチューブ）はチャンネルを停止。YouTubeは現段階では一時停止で、90日間に3回停止を受けるとチャンネルが停止される。

トップ写真：米国議会議事堂に侵入した群衆（2021年1月6日）　出典： flickr; Tyler Merbler