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米民主党、トランプ追い込めず

Japan In-depth / 2021年1月20日 7時0分

米民主党、トランプ追い込めず




宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)





「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2021#3」





2021年1月18-24日





【まとめ】





・民主党はトランプ氏を辞任に追い込むことに失敗。





・今後の注目は「弾劾裁判継続」「恩赦」「就任式で何が起きるか」。





・表舞台から退場するが、トランプ氏の力量を過小評価すべきでない。









今週20日にワシントンで大統領就任式がある。1月6日の議会議事堂襲撃事件後に様々な政治的動きが試みられたが、結果的に、憲法修正25条は発動されず、下院は暴動扇動を理由に二度目の大統領弾劾を即決したものの、上院は「有罪」に向けて動きそうにない、という結果だ。まあ、大方の予想通り、というところだろう。





要するに、民主党はトランプ氏を辞任に追い込むことに失敗したのだ。となると今後の注目点は、①バイデン新大統領就任後も上院がトランプ弾劾裁判に関する審議を続けるのか、②トランプは自己と家族や顧問弁護士などに対する事前の包括的恩赦を決断するのか、③仮に恩赦を実施した場合、法的に有効なのか、などに移るだろう。





もう一つの注目点は、就任式がある20日のワシントンで一体何が起きるかだ。現在既にワシントンは厳戒態勢下にあり、最大二万五千の州兵が配備されるという。そこで騒ぎを起こせば、Proud BoysであれQAnonであれ、相当の打撃を受ける。騒動が起きるとすれば、各州都で行われる抗議運動がきっかけになるのではないか。





興味深い報道が幾つかある。1月6日の議事堂乱入の模様はテレビで生中継された。心ある関係者は直接、あるいはイヴァンカやクシュナーを通じて、何とかトランプ氏に連絡を取ろうとしたが、結局連絡はつかなかったという。理由は簡単、トランプ氏はテレビ生中継放送を見ている間は電話等に決して出ないからだ、というのだ。





▲写真 米議会議事堂乱入事件(2021年1月6日) 出典:flickr; Tyler Merbler



信じられない話だが、どうやら毎度のことらしい。トランプ氏がビデオメッセージで公式に「暴力を非難」したのは議事堂での騒ぎが始まってから6時間も経った後のこと。それも、クシュナー夫妻やホワイトハウス次席補佐官、ペンス副大統領らが説得した結果渋々応じたらしい。これがトランプ政権末期の恐るべき実態である。





トランプ氏が表舞台から退場することで、米内政に新しい時代は来るのか?筆者はあまり期待していない。たしかに、SNSを失い、ドイツ銀行を失い、PGAツアーの興行権も失ったトランプ氏の政治的生命は絶たれつつあるとも報じられるが、それは希望的観測に過ぎない。決してトランプ氏の力量を過小評価すべきではない。





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