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仏で「近親相姦」告発本出版

Japan In-depth / 2021年1月25日 20時49分

それでも、エヴァさんは、一定の理解を示した。「この時代は親の言うことを聞くことが当然だった。子供たちはなんらかの暴力を受けていてもそれに従うのが当然と思われていたはのはしかたがない」と。しかし、そんな彼女に対して、コメンテーターとして出演していた婦人科医が言い放った言葉は、この番組で一番打撃を与える言葉となった。「ほとんどの近親相関は暴力を受けながら行われているわけではなく、音楽を流しながらのロマンティックな環境におくなど、穏やかであり、愛情をもって行われています。」





現在78歳のエヴァさんは、今この発言を聞いても憤りを感じ、全てを一緒くたにしていると訴える。「確かに父親と娘の間に愛情は存在するでしょ。でも性的行為を大人が未成年に行うのは愛情とは呼ばないんです。それは犯罪です。」





しかし、いくらテレビで告発しても1986年当時は何も変わらなかった。その後も、長い間未成年に対する犯罪は無視され続けたのだ。今でこそ未成年に対する淫行の罪を償わなかったことで大きな問題となっており、政府関係者からも非難の声があがる映画監督ロマン・ポランスキー氏についても、2009年に淫行容疑に関連してスイスで逮捕された時には、フランス政府も全面的にポランスキー氏を擁護した。当時の外相であり、『La Familia Grande』で明かされた性的虐待の受けた被害者の実の父親でもあるベルナール・クシュネル氏にしても、逮捕は「悪意に満ちている」とまで述べていたのだ。





■ #metoo運動で変わった意識





しかし、そういった意識は今現在変わりつつある。そして、#metoo運動でさらに大きく変わっていった。近親相関の被害者の意識も変わっていった。世論調査によれば、近親相関の被害者であると答えた人の割合は、2009年は、3%(Ipsosによる調査)、2015年は、6%(Harrisによる調査)であり、2020年には10%(Ipsosによる調査)と増加してきている。これは、被害の件数が増加したというよりも、今までタブーであった近親相関の問題を、もう隠さなくてもいいという認識が広がってきた表れではないだろうか。





このように、昔よりは、問題を告発しやすい環境になりつつあるのは間違いない。しかしながら、まだまだ未成年者が被害を受けている時点で誰かに訴えることも依然難しく、大人になることで告発の決心がついても、長い時間がたった後では証拠を提示するのは難しい場合が多い。その結果、強要されたのではなく、「同意があった」と判断されれば立件もできなくなるなど、様々な問題が数多く残っている。





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