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「蔑視」は森氏だけの問題か(上)スポーツとモラル その1

Japan In-depth / 2021年2月22日 15時38分

などと語ったこと。





これにまず激怒したのはIOCの女性委員だったと伝えられるが、確かにロイターなどは、発言を以下のように英訳していた。





 We have about seven women at the organising committee but everyone understands their place.





問題はフレーズの後半で、日本語の「わきまえている」もそうだが、自分の身の程を知っている、といったニュアンスになる。つまり、よくも悪くも忠実に訳されている。





早い話が「わきまえている女性」とそうでない女性との間には優劣があり、その優劣は自分がジャッジしてよいのだと言い放ったものと、英語の記事を読んだ側は受け取ったに違いない。先ほどロイター訳は「よくも悪くも」忠実だと述べたのは、当の森氏自身は、おそらく「おやじギャグ」程度のノリで口にしたのではないかと推察されるのだが、そこまで「忖度」しての英訳など、できる相談ではないからである。





日本でもフェミニストの人たちが「わきまえない女たちの会」を名乗って抗議行動に乗り出し、ついには政府与党もさじを投げてしまった。





自業自得という表現を用いたけれども、これは森氏自身に対して向けられた言葉であると同時に、彼を組織委員長の座につけた、政府やJOCに対しても言い得ることだ。





もともと森喜朗という人は、失言が多いことで知られていた、中でも有名なのは、首相時代の2000年5月、神道政治連盟のパーティーで、





「日本は天皇を中心とした神の国であると、国民にしっかり承知していただく」





などと言い放ち、政教分離に反するではないか、とバッシングを浴びた一件である。この時はまた、保守派や改憲派と称される人たちも、彼を積極的に擁護しようとしなかった。政治的信念を問われるものでなく、単なる酒席での放言に過ぎないことが、誰の目にも明らかだったからであろう。今次も一部の保守系メディアにおいては、





「毎週病院に通いながら(前立腺がんの手術歴がある)頑張ってきた人を、マスコミが袋叩きにするのはいかがなものか」





という同情論を開陳した人がいたものの、批判の声は小さくならなかった。









▲写真 2021年2月12日に東京で開催された東京2020評議会および理事会に出席する元日本サッカー協会会長で東京2020オリンピック組織委員会の理事川渕三郎氏 出典:Yoshikazu Tsuno - Pool/Getty Images





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