仏、亡命希望者が施設長殺害
Japan In-depth / 2021年2月23日 18時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランスUlala の視点」
【まとめ】
・仏庇護申請者受入施設の責任者、亡命希望のスーダン人に殺害される。
・容疑者は、2015年フランスに亡命を希望してやってきたスーダン人。
・亡命希望者含む外国人が複数の罪を犯した時、国外退去にすべきとの声。
19日午前11時頃、フランス南西部、ポーにある庇護申請者受け入れ施設の責任者である46歳の男性が、亡命希望者のスーダン人男性(38歳)にナイフで刺され死亡した。
この衝撃的なニュースを受け取ったジェラルド・ダルマナン内務大臣は、すぐに現地に飛び夕方には到着し「犠牲者の家族と親族に心からの哀悼の意」表した。加害者はすでにフランスに来てから2件の暴力事件で有罪になっており刑務所にも入っていた経歴があることから、一部では亡命希望者を含む外国人が複数の罪を犯したときに、自動的に国外退去にするべきではないかとの声もあがった。
■ 事件の概要
加害者は金曜日の事件後すぐに警察に拘束され、本人がやったことを自供した。そして日曜日の昼前に起訴され、現在、拘置所に収容されている。この男は、2015年にフランスに亡命を希望してやってきたスーダン人であった。
フランスでは、戦争で自国に住めなくなったり、政治で迫害された難民や亡命者を受け入れており、多くの難民や亡命者がフランスを訪れる。しかしもちろん全員を受け入れるわけではない。例えば、2017年を例にとれば、約10万人の難民申請を受け付け、そのうち約1万3千人を難民認定、約1万人を準認定(補完的保護)している。
難民認定、補完的保護による保護、あるいは不認定の決定する機関がOFPRA(フランス難民及び無国籍保護局)だ。ここで審査され受け入れが決まれば、DPM(移民局)から業務委託を受けた民間団体であるCADA(庇護申請者受け入れ施設)が世話を引き受け、入所者に対し申請手続、生活面などのサポートや財政支援をする流れとなっている。
また、OFPRAに難民不認定の判断が下された場合は、CNDA(行政裁判所・難民専門)へ不服申し立てをすることができる。そこで、難民裁判官により最終的な判断が下されるのだ。
今回事件を起こした男は、亡命申請後、OFPRAに不認定の判定を受けていた。しかしながら不服申し立をした結果、CNDAの判断により受け入れが決まった経緯がある。認定後は、ポーのCNDA管轄のIsard-COSという施設に入居したが、その受け入れを行った人物こそが、責任者として2015年からIsard-COSにて働き始めた今回の被害者だ。
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