1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

霞ヶ関高級官僚接待の系譜

Japan In-depth / 2021年2月23日 15時0分

霞ヶ関高級官僚接待の系譜




安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)





【まとめ】





・菅総理の息子の総務省官僚接待疑惑が問題になっている。





・かつての大蔵省接待汚職、「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」を思いおこさせる。





・官僚の倫理観の麻痺、目に余る。政治のリーダーシップどこへ。





 





菅総理の長男の総務省官僚接待疑惑が問題になっている。





総務省で放送・通信行政を所管する部署の幹部、谷脇康彦総務審議官、同吉田真人と秋本芳徳情報流通行政局長、湯本博信官房審議官が、放送関連会社「東北新社」に勤める菅首相の長男から通算12回もの接待を受けていたという話だ。





これまでにこの4人の他、9人の計13人が、国家公務員倫理法規程に違反する疑いがある接待を受けていたという。その数、39件に上る。山田真貴子内閣広報官も、総務審議官に在職中の令和元年11月6日に東北新社から飲食費7万4203円の接待を受けていたと明らかになった。





武田良太総務大臣は接待を受けた秋本、湯本両氏を異動させたが、これを「通常の人事」などと思う人間はいまい。今週にも残りの官僚の処分が出るものと思われる。









▲写真 総務省が入居している中央合同庁舎第2号館 出典:Wiiii





この一連の騒動を聞き、「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」を思い出すのは、50才以上の人だろう。この事件は、「大蔵省接待汚職事件」と呼ばれ、1998年(平成10年)に発覚した大蔵省を舞台とした汚職事件だ。





大蔵省の職員らが、東京都新宿区歌舞伎町のノーパンしゃぶしゃぶ店「楼蘭」で金融機関から頻繁に接待を受けていた事が発覚したのだ。その名の通り、ノーパンの女性が接客するといういかがわしい店で大蔵省幹部は接待を受けていた。





この事件は官僚7人の逮捕・起訴に発展。起訴された7人は、執行猶予付きの有罪判決が確定した。この責任を取り、三塚博大蔵大臣と松下康雄日本銀行総裁、小村武事務次官、長野厖士証券局長らが引責辞任し、その後の財政・金融分離と大蔵省解体の一つの要因となった。大蔵省から銀行と証券の関連業務が分離されて金融監督庁(現金融庁)ができ、大蔵省は財務省になった。





信じられないかも知れないが、当時、金融機関には「MOF(モフ)担」と呼ばれる人間がいた。MOFとは“Ministry of Finace”、つまり大蔵省の英訳の頭文字だ。彼らは、年間1億円(当時)ともいわれる巨額の交際費を持ち、接待攻勢をかけた。金融検査のタイミングや、許認可情報を事前に入手するためだ。大蔵官僚は銀行の金で遊興に明け暮れ、その後の人生を棒に振った。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください