G7、中国側に行動求めていく
Japan In-depth / 2021年2月23日 23時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2021#8」
2021年2月22-28日
【まとめ】
・先週金曜日夜、G7首脳テレビ会議が開かれた。
・首脳声明、中国について踏み込んだ言及無し。
・日本政府は「中国側の具体的な行動を求めていくとの基本的な考え方を説明」と発表。
先週金曜日夜、今年の議長国英国の呼びかけでG7首脳テレビ会議が開かれた。昨年は新型コロナ感染の影響でG7首脳の対面会合がなく、3月と4月の2回、今回と同様のテレビ会議が行われただけだった。それにしても、トランプ氏のいないG7が如何に「本来あるべきG7」となったことか。それだけでもホッとする毎日である。
トランプ氏の最大の問題は外交、特に国際会議と選挙キャンペーンの区別がつかなかったことだ。毎年9月の国連総会では米国内の「岩盤」支持者向けとしか思えない演説を繰り返し国際社会の失笑を買った。昨年も大統領選挙のイベントの一つとしてG7サミットを取り扱おうとした。メルケル独首相がこれに反発したのも当然だろう。
それはともかく、今回も首脳声明が発表された。A4で二枚の英文という簡単なものだ。趣味の問題かもしれないが、文章的にはあまり美しくない。恐らくはテレビ会議だったため、関係国間で十分な意思疎通ができなかったか、準備のための時間が短かったのだろう。それでも多くの人々が徹夜で作ったはずだ。誠にお疲れ様である。
その首脳声明は、中国につき「全ての人々にとり公正互恵的な世界経済システムを支持するために、他の諸国、特に中国のような大きな経済を含むG20諸国を関与していく。G7の首脳として、非市場志向の政策や慣行に対処するための共同のアプローチについて協議し、全ての国に影響を与える重要な世界的な課題に取り組むため、他国と協力していく。」としか述べていないため、国内では批判的な声が少なくない。
だからだろうか、今回の政府発表では、「中国との関係について主張すべきは主張し、中国側の具体的な行動を求めていくとの日本の基本的な考え方を説明しました。また、東シナ海、南シナ海での一方的な現状変更の試みについての我が国の懸念についてもしっかりと伝えました。」とわざわざ言及している。実に興味深い。
今週の毎日新聞政治プレミアでは、この種の首脳宣言、首脳声明の作り方について書いた。先日の日米首脳電話会談は、事後の政府発表で「中国」に言及しなかったことが厳しく批判された。米側の発表ではしっかり「中国」に言及しているのに、である。でも、それってあまり意味のある批判ではない、と思うのだが・・・。
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