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「蔑視」は森氏だけの問題か(下)スポーツとモラル その3

Japan In-depth / 2021年2月24日 23時0分

▲写真 自身の発言について謝罪する森喜朗元東京オリンピック・パラリンピック組織委員長 出典:Yoshikazu Tsuno - Pool /Getty Images





念のため述べておくが、私がそのことを肯定しているわけではない。あくまでも、今の感覚で昭和の番組を糾弾してもはじまらない、というだけのことである。公人であろうが一介のネット民であろうが、意見を発信した以上、自分で責任を持つのが当然で、なにもかもTVのせいにして済まされるなら警察はいらない、という話だ。





そのことは大前提ではあるが、これは「昭和の日本」に特有の問題ではなかった、ということは述べておきたい。





1987年11月29日に起きた大韓航空機爆破事件にからんでのことだが、事件直後、容疑者として拘束された北朝鮮の工作員・キム・ヒョンヒ(=金賢姫。この時点では<蜂谷真由美>という日本人に成りすましていた)について、フランスのある新聞は、





「凶悪殺人犯の多くの実例に漏れず、非常な美人である」





などと書いていた。





ジェンダーにまつわる舌禍事件もあって、日本が平成の世となったばかりの頃、すなわち1990年代初頭には、やはりフランスの女性政治家が、





「英国人男性にはホモセクシュアルが多い。これは英国人女性に魅力がないから」





などと発言して物議をかもした。





物議の具体的な内容は様々だが、私が強く印象づけられたのは、あるMP(メンバー・オブ・パーラメント=英国下院議員)が発した、





「我々(英国人男性)がフランスの女性に対してこんなことを言ったら、即座に職を失うだろう。まったくもって不公平だ」





というコメントであった。ちょうどその頃、日本の某女性タレントが、





「身長175センチ以下は男じゃない」





などとのたまわったと聞いていて、こちらがたとえば「Bカップ未満は女じゃない」などと書いたら大変なことになるよな、と思ったので、フランスでも変わらないのか、と印象に残ったわけだ。むしろ女性の方が言いたい放題になってきたのではないか、と。





とかく「欧米では……」とひとくくりにして語られることが多いが、英仏間でさえこうした違いがあるし、当たり前のことを言うようだが、どの国でも時代とともに変化してきている。





それはそれとして、やはり日本人の悪い癖だと言いたくなるのは、森氏や竹下氏のように、空気を読まない発言を繰り返す人を「裏表がない」「本音でものを言う」などと持ち上げる人が多いことだ。





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