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見方と見せ方は程度問題(上)スポーツとモラル その4

Japan In-depth / 2021年2月26日 23時0分

いわく、女子は水着を着用すること、それも背中が完全に見えるデザインに限る、と定められたのだ。必然的にビキニスタイルとなり、なおかつボトムス(アメリカ英語ではパンツはもっぱらズボンの意味になるので、こう呼ぶのだとか)の横幅は7センチ以下とされていた。 





さすがの私もパンツのデザインにまで造詣はないが、しかしながら常識で考えて、これではお尻が半分見えるようなことにならざるを得ないだろう。





今では、具体的には2004年アトランタ五輪以降、読者ご賢察の通りの理由で、この規定は廃止され、ワンピース型の水着や、ショートパンツの着用も認められている。イスラム圏では逆に、ビキニの着用を禁じていたりもする。





ただしこれは例外的な現象で、今も大半の選手がビキニを着用し続けているのだが、これは動きやすさを求めた結果であると同時に、





「水着が小さい方が強そうに見える、という共通認識がある」





からだとか。これも元選手の証言で、ここまで来ると門外漢には理解が及ばないが、と言って、あながち笑いごとでもない。





3月に中東カタールでビーチバレーW杯が開催されるのだが、ドイツ代表がボイコットを表明した。理由は前述の、ビキニ着用を禁止する規定である。当の選手は取材に答えていわく、





「私たちは仕事で行くのに、仕事着の着用を政府が禁じるなど、非難されるべき事柄です」





だったらカメラ小僧が文句を言われる筋合いもないのでは、と思われた向きもあるやも知れぬが、動きやすく「強そうに見える」水着を選ぶことと、試合中、お尻にカメラの焦点を合わせられることはまったく別の話だ。





これはビーチバレーだけの問題ではない。





体操の元日本代表(2012年ロンドン五輪に、兄二人と史上初の兄妹同時出場を果たした)である田中理恵さんは、コンビニでたまたま手に取った雑誌に、レオタード姿で大きく開脚している自分の写真が「袋とじ」で掲載されていたのを見て、愕然としたことがある、と語っていた。









▲写真 田中理恵元選手 2012年ロンドンオリンピック 出典:Cameron Spencer/Getty Images





つまりは今に始まった問題ではないのだが、最近ようやく一部の陸上選手が、性的な画像を拡散されることに抗議したのを皮切りに、多くの女子アスリートが声を上げ始めた。





ここにもいささかビミョーな問題があって、五輪のルーツである古代ギリシャのオリンピア競技会というのは、単なる競技ではなく、鍛えぬいた肉体を神にお目にかけるという行事でもあった。相撲のルーツも同様である。





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