NYで頻発アジア系への暴行
Japan In-depth / 2021年3月2日 11時0分
波風立たせず、周りに迷惑をかけずで、事件や被害にあっても、大きく声をあげない。被害にあっても、事件が周囲や自分の立場に影響することを極度におそれ、警察にも届け出ることはまれ。
実はこれらの指摘は当たっている。
これに加え、言葉の問題もあり、届け出には多くの労力と、周りの理解が必要で、被害にあっても泣き寝入りして自分の中のこととして問題をしまいこむアジア人は「迷惑をかけない」、「お行儀がいい模範的な移民」というわけだ。ステレオタイプではあるが、こういう印象を持たれているのが犯罪のターゲットとされてしまう一因であると思う。
先日の集会は、少数の人種ならば、おたがい手を合わせて、もっと問題を訴えていこう、というものだ。
声をあげなければ何も変わらない。
集会は、様々な22の民族、人種の団体が主催に加わった。この中には日系の団体、黒人の団体、韓国系、アラブ系、インド系などの団体も含まれる。
集会の参加者は当初限定的と見られたが、アジア人へのヘイトクライムの急増を受け、注目度が上昇、もともとは予定になかったデブラシオ市長、州司法長官、上院議員なども登壇し、参加者は数百人規模となり、国内外に大きく報道された。
ヘイト事件の急増にはコロナ禍が人々の心や生活に与えた影響が背景にあるのは間違いない。
無言で殴りかかってくる者、護身のためなのか、ナイフを持ち歩いているもの。
持ち運びにすら苦労する大型の包丁などを、なぜ身につけているのか、
どう考えても理解に苦しむが、それぞれのヘイト事件を見れば、明らかに、攻撃をすることを前提に、声をあげないアジア人をストレスのはけ口にしているとしか思えないケースばかりだ。アジア人ならやってしまって構わない。事件が届けられなければ捕まらないし、異人種だから心も痛まない、ということだろうか。
ちなみにヘイトクライム以外の暴行事件も急増していて、ヘイトに見えるが、ヘイトクライムに認定されていない事件が多数ある。アメリカではヘイトクライムは重罪で、当局が訴追に慎重になっていることを関わりが消極的、とする批判もある。
集会もなかばに、地下鉄で切られ、顔面に100針の傷を負った男性が登壇した。
男性が感染防止のマスクを取るとしばし、会場は静まり返った。
彼の顔には、顔面を横切る、大きな一文字の傷が刻まれていた。
それを見ている参加者の殆どはアジア系で、自分もそのうちの「一人のアジア人」であった。しかし、周りをよく見渡せば、集会参加者の多くはアジア人ではあったが、アジア系でない、他の人種、民族の人々の参加も決して少なくなかった。
自分も声を上げることができるだろうか。
遠い目で演壇を見ながら、明日は我が身かもしれない、という言葉が頭に浮かんだ。
トップ写真:「憎むべきはウイルス」「アジア人を憎むのは止めて」とプラカードを掲げる女性(2020年2月20日 NYにて) 出典:Dia Dipasupil/Getty Images
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