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バイデン政権対中戦略転換へ

Japan In-depth / 2021年3月10日 1時47分

①USTRの発言の中から「自由貿易」という言葉が消え、





②新たに「米国労働者の利益」、「高水準の労働環境」が加わり、





③日本批判に代わって中国批判が急増したということである。





だが、筆者が気になるのはこれだけではない。





実は2月24日にバイデン大統領がある重要な大統領令に署名している。報道ではこれにより「370億米ドルの連邦政府投資を行い、半導体の供給不足に対応するための道が開かれる」という。米半導体業界も歓迎しているそうだが、おいおい、これって米国が長年忌み嫌ってきた「産業政策」そのものではないのかい?





この大統領令では、「米国の競争力を保護および強化していく上で不可欠な4つの重要製品のサプライチェーンについて、直ちに100日間のレビューを行う」とされ、対象は半導体に加え、主要な鉱物/材料、医薬品、高性能バッテリーとされている。「背に腹は代えられない」のだろうか、明らかに中国を意識した政策転換だろう。





現在バイデン政権では、米政府全体で対中政策に関する総合的見直しが進んでいるらしい。その全貌が見えてくるのは数カ月先になるだろうが、安全保障分野だけでなく、経済貿易分野でも、米国の対中政策が、ゆっくりではあるが、確実に方向転換し始めていることだけは間違いなさそうである。





〇アジア





ミャンマーでは今も流血が続いているが、7日、中国の国務委員兼外相は「対話と交渉を続け、憲法の枠組みによって対立を解決し、民主化プロセスを継続することを望む」と述べたそうだ。おいおい、それを言うなら、まずは中国内とは言わないが、せめて香港からでも「民主化プロセス」を再開しては如何だろうか。





〇欧州・ロシア





スイスで7日、イスラム教徒女性を念頭に、公共の場で顔を隠す衣装の着用を禁止する提案につき国民投票が行われ、賛成約51%で可決された。投票率も約51%だったというから、本当に僅差である。確か、似たような禁止令はフランスやベルギーにもあったと思うが、イスラム教徒なら「スイスよ、お前もか?」と言いたいところだろう。





〇中東





先週もサウジアラビア東部にある国営石油会社サウジアラムコの石油施設で無人機やミサイルによる攻撃があった。イエメンの「フーシ派」が犯行を認めたというが、彼らがドローンやミサイルを作れるとは到底思えない。これも6月のイラン大統領選挙まで続く米イラン間の「代理戦争」の一部と見るべきだろう。





〇南北アメリカ





昨年は新型コロナウイルス対策で英雄視すらされたニューヨークのクオモ知事が政治的危機に瀕している。高齢者施設での死亡者数過小発表や元同僚などに対するセクハラ疑惑で身内の民主党関係者からも批判が出始めたからだ。「驕る平家久しからず」、英語ではThe longest day must have an end.ともPride will have a fall.とも言うそうだが、この諺だけはクオモ知事の辞書にないかもしれない。









▲写真 政治的危機に陥っているクオモ・ニューヨーク州知事 出典:Bennett Raglin/Getty Images





〇インド亜大陸





インドがクアッド(QUAD日米豪印協力体制)でインドのワクチン生産能力拡大への資金援助を呼びかけていたと報じられた。恐らく当たらずとも遠からず、だろう。決して容易ではないが、インドへのこの種の投資は戦略的に極めて重要だ。





今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは来週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。





トップ写真:バイデン大統領(当時、副大統領)と中国の習近平国家主席(2013年12月4日 北京) 出典: Lintao Zhang/Getty Images




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