安全神話が国難招いた(上)日本メルトダウンの予感 その1
Japan In-depth / 2021年3月16日 10時24分
そこで、原発は安全だというキャンペーンが大々的に張られてきた。これが世にいう「安全神話」だったわけだ。
福島の事故でその神話も吹き飛ばされた、と言われているが、事故が起きた年すなわち2011年の11月に、NHKが『シリーズ原発危機』と題するドキュメンタリー番組を連続で放送した。
過去に原子力行政にたずさわってきた人たちが、
「起きるはずがない、とされてきた事故がどうして起きてしまったのか」
という疑問に対し、各自の見解を開陳してゆくのだが、そこから浮かび上がってきたのは、もともと安全神話は政府筋や電力会社が意図的に流したようなものではなく、単に日本の技術力に対する過信からくる「美しき誤解」であった、ということであった。
被災された方々の身になってみれば、美しいとはなにごとだ、と責められても致し方ないが、ここで語っているのは、もともと安全神話が捏造されたものでもなければ意図的に流布されたものでもなかった、というだけのことだ。それが事故を起こした電力会社の免罪符になるわけでもなければ、10年前の事故の被害すら回復できていないのに、再稼働を主張するなど論外だという、私の立場と併せて明記しておく。
それはそれとして、出発点は日本の技術力を過大評価した結果であったかも知れないが、その後の原発をめぐる議論を注意深くフォローしてゆくと、推進派と反対派の軋轢の中で、推進派が論争の切り札として安全神話を利用する傾向が出てきたことまでは、どうやら争えないようだ。
「原発が嫌ならクーラー使うな」
という議論(と呼ぶに値するか否かは読者の判断にゆだねたい)があった一方で、
「安全対策は充分。日本ではチェルノブイリ原発事故のようなことは起きない」
といったような、今にして思えば、なにか科学的な根拠があったのか、と思わざるを得ない言説も流布していた。
福島第一原発は海抜15メートルの位置にあり、津波がそこまで押し寄せて、地下にある緊急用ディーゼル発電機までが海水に浸かって、SBO(ステーション・ブラックアウト=全電源喪失)に至るなど、まったく想定外の事態であった、とも言われたが、事故調査委員会が下した結論のひとつは、設備の老朽化に加え、防潮堤の高さも不十分ではないか、との危惧を表明する技術者が複数いたにも関わらず、東京電力は福島第一原発を稼働させていた、というものであったことは指摘しておきたい。
またもや『Fukushima50』の話をさせていただくと、米軍横田基地の高級将校が、
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