安全神話が国難招いた(上)日本メルトダウンの予感 その1
Japan In-depth / 2021年3月16日 10時24分
「父親がGE(ゼネラル・エレクトリック社)の技師だった。子供の頃あの近くに住んでいて(現地福島の)子供たちとよく遊んだものさ」
などと回想するシーンがある。そして「ミッション・トモダチ」と称する、被災地に救援物資を空輸する「作戦」を発動するのだ。
このエピソードまでが事実なのかどうか、残念ながら信頼すべき資料を見つけることはできなかったが、我が国の原発が、ソフト面も含めて米国から導入した技術によって建設され稼働してきたことは周知の通りである。
その米国では、1979年に『チャイナ・シンドローム』という映画が公開された。
タイトルの由来は、原発の炉心が融解して放射性物質が容器を突き破って流れ出たならば、高温で地面を溶かし、最終的には地球の裏側の中国まで突き抜けてしまうのでは、というブラックジョーク(米国から見て地球の反対側は中国ではない)だが、そこで描かれていたのは、利益優先で安全対策にコストをかけようとしない電力会社と、その実態を暴こうとするメディアの姿である。事故に遭遇しながら決死の取材を続けるTVレポーターをジェーン・フォンダが演じた。
そして、公開からわずか12日後にペンシルバニア州スリーマイル島の原発で、メルトダウン(炉心融解)事故が起きてしまうのである。
▲写真 メルトダウン事故のあったスリーマイル島(1999年3月15日) 出典:John S. Zeedick/Getty Images
確かにこの事故の原因は、冷却水ポンプの配管が詰まったという、半ば「人災」のようなものではあった。しかし、日本で同じようなことが起きないと考える根拠は、なにかあったのだろうか。まさかとは思うが、
「映画にかぶれた者が、原発反対の世論を煽るため、意図的に事故を起こした」
などという陰謀論を真に受けていたわけではあるまい。
次回は、その話を。
(下に続く)
トップ写真:福島第一原発事故を受け、市内への立ち入りを制限する警察官ら(2011年4月25日 福島・南相馬市) 出典: Ken Ishii/Getty Images
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