さらばトランプ主義 バイデン国際協調へ
Japan In-depth / 2021年3月21日 11時0分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・トランプ前大統領の「アメリカ第一主義」により米は世界の指導的地位失った。
・バイデン大統領は外交、安全保障、経済、国内政策をかつての国際協調主義に戻す方針。
・国際協調路線定着のため、バイデン任せでなく日本として発信の要有り。
アメリカのバイデン新大統領(78)が就任してから二ヵ月になる。トランプ前大統領は、アメリカの利益を最優先する“アメリカ第一主義”を掲げ、国際条約や国際機関からの一方的な脱退を宣言した。その結果、アメリカ社会の内側や国際社会との分断が進みアメリカは孤立していった。気候温暖化問題やコロナ対策にも消極的で、アメリカは世界の指導的地位を失ってしまった。
バイデン大統領は、そんなトランプ主義との決別を約束し「アメリカはまた戻ってきた。品位を回復し民主主義を守る」とし、分断ではなく結束を目指す大統領になると誓った。
大統領の勝利演説では「私たちは新型コロナ対策から仕事を始める。このウイルスを封じ込めない限り経済も生活も取り戻すことはできない。コロナ対策を実行に移すため、科学者や専門家と共に科学的見地を踏まえた思いやりと共感、配慮のある対策を実行し努力や関与を惜しまない」と約束した。
また、屋台骨である中間層を立て直し米国が世界で再び尊敬されるようにしたいと述べ、人種や老若男女、思想に拘らず、あらゆる人々が社会に参加する多様性に富んだ国を作ろうと呼びかけた。このため副大統領に米国史上初めて黒人女性のカマラ・ハリス氏(56)を選んだ。
▲写真 アイルランド首相とヴァーチャル二国間会議を行う、米副大統領のカマラ・ハリス氏 出典:Alex Wong/Getty Images
バイデン氏は北東部の工場労働者が多く暮らすペンシルバニア州の小さな街に生まれ、アイルランド系カトリックの中流家庭で育った。父親は中古車販売店のセールスマンだった。1969年に大学院を出て弁護士となり1972年に民主党から上院議員として初当選。以来6期36年務め、司法委員長、外交委員長などとなり、09~17年までオバマ政権の副大統領だった。家庭的には二度の結婚をし、4人の子供がいたが最初の妻と長女を交通事故で亡くし、長男(46)を脳腫瘍で失っている。
バイデン大統領は、アメリカの外交、安全保障、経済、国内政策などをトランプ時代から大きく変えることを表明している。トランプ氏が一方的に脱退した地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」や世界保健機構(WHO)に復帰するほか、トランプ政権が離脱したイランとの国際的核合意に復帰する。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
なぜハリスは負けたのか?【米大統領選2024を徹底分析】
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月12日 17時58分
-
トランプ圧勝の背景…Z世代男性を取り込んだ「意外なSNS活用」とは? 再選で真価が問われる石破首相の”交渉力“
集英社オンライン / 2024年11月8日 7時0分
-
[社説]トランプ氏勝利 ガザ停戦急ぎ住民守れ
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月7日 4時0分
-
〈アメリカ大統領選〉「もしトラ」と「もしハリ」、日本にとってどちらがいいのか? 在日米軍、円安、原発、武器購入はどうなる?
集英社オンライン / 2024年11月3日 7時0分
-
米大統領選で注目「ふたつのジェンダーギャップ」 ハリスとトランプのどちらに有利に働くのか
東洋経済オンライン / 2024年11月2日 17時0分
ランキング
-
1建築火災の専門家「密閉的な空間で放火されたらどうしようもない…」札幌すすきの“ガールズバー”爆発火災 火を放った疑いの41歳男性と20代女性従業員の間で交際トラブルも
北海道放送 / 2024年11月27日 19時56分
-
2玉木氏「パフォーマンスなので」 企業・団体献金の禁止めぐり 国民民主が野党協議欠席
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 18時21分
-
3出品者に情報提供求める=アマゾンジャパンの独禁法違反―公取委
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
-
4斎藤元彦知事の代理人、PR会社経営者の投稿は「事実を盛っている」…広報全般を任せた「事実ない」
読売新聞 / 2024年11月27日 20時27分
-
5国民民主・玉木氏、異例の官邸訪問=石破首相に原発新増設を要望
時事通信 / 2024年11月27日 20時9分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください