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ブリンケン国務長官「北朝鮮の非核化」強調

Japan In-depth / 2021年3月23日 21時0分

その内容は一言で言って朝鮮半島の南北から核兵器とそれを製造する一切の施設を撤去するというものだった。この時点では、韓国にも米国の戦術核が配備されていたために、南北の非核化を「朝鮮半島の非核化」としてとらえることに矛盾はなかった。





しかしこの宣言後、韓国に配備されていた米軍の戦術核がすべて撤去されたために「朝鮮半島の非核化」は、「北朝鮮の非核化」を残すのみとなった。そうしたことから、その後は「朝鮮半島の非核化」は「北朝鮮の非核化」を意味する用語として使われたのである。





1994年のジュネーブ「米朝非核化交渉」でも、北朝鮮は、そうした状況を踏まえた上で「枠組み合意」を行い、対価として重油年50万トンの供給や、2基の軽水炉建設支援を受けた。





2002年に北朝鮮が秘密裏に濃縮ウラニウムを製造していたことが米国によって暴露され、一連の支援は中断されたが、その後2003年から始まった6カ国協議でも、「ジュネーブ米朝枠組み合意」の延長線上で、「朝鮮半島の非核化」は、「北朝鮮の非核化」の意味として使われた。





それは6カ国協議で、北朝鮮が非核化の対価として求めたのが、対北朝鮮経済支援や対北朝鮮不可侵及び米朝国交正常化などであったことからも明白だ。この時点でも「朝鮮半島の非核化」概念には、朝鮮半島周辺の米国の核の傘除去や駐韓米軍の撤退などの意味は一切入っていなかった。





■ 2016年に北朝鮮が変更した「朝鮮半島非核化」概念





ところが北朝鮮は2016年の朝鮮労働党7回大会直後になって、この「朝鮮半島非核化」の意味を根本的に変更したのだ。北朝鮮が、核保有国として、非核化交渉を核軍縮交渉に転換する意図からだ。





「朝鮮労働党第7回大会決定書」で「『東方の核大国』に輝かせていく」と記した直後の2016年7月6日に、北朝鮮は政府声明で「朝鮮半島の非核化」概念を「北朝鮮の非核化」ではなく、朝鮮半島周辺の米国の核の傘や駐韓米軍の撤退までも含めた5項目からなる概念に書き換えたのである。





こうして北朝鮮は、6カ国協議まで使われてきた「朝鮮半島の非核化=北朝鮮の非核化」という既定の概念とは根本的に異なる「朝鮮半島の非核化=米国との核軍縮」の意味に置き換えた。





しかし、トランプ政権はこの「変化」を知らなかったのか、文在寅政権の「金正恩は北朝鮮の非核化を決意した」とのウソに騙されたのかは定かではないが、北朝鮮が主張する「朝鮮半島非核化」の意味を吟味せず、シンガポール首脳会談に臨み、「朝鮮半島の完全な非核化に努力する」云々の文言を「共同声明」に盛り込んだ。









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