米閣僚たちの青い拉致バッジ
Japan In-depth / 2021年3月23日 23時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日米2+2、バイデン政権重要閣僚2名が拉致バッジ胸に出席。
・拉致被害者「家族会」及び「救う会」の敏速な努力の結果。
・拉致問題への米の助力意思が日本へ言明されたのは好ましい。
3月16日に東京で開かれた日本とアメリカの外務防衛閣僚会議(通称2プラス2)にのぞんだバイデン政権の重要閣僚2人の胸に青いバッジがつけられていたことは日本側ではあまり広くは報じられなかった。もっともテレビ放送などで彼らの上着の胸に青いバッジがきちんと留められていたのに気づいた人もいただろう。
バイデン政権のアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官は日本側の外務、防衛両大臣との協議でも、その後の記者会見などでも、一貫して上着に青い拉致バッジを着けていた。
このバッジ着用は日本にとって重要な意味があった。北朝鮮工作員によって不当に拉致された日本国民の解放と帰国を求める国民運動の象徴がこの拉致問題解決を祈る青い拉致バッジなのだ。そのバッジをアメリカ新政権の閣僚たちが胸に留めて、日本での公式の場に登場したことは、バイデン政権の拉致問題解決に関する日本への支援の意欲を示したといえる。
この点は日本側としては素直に喜び、感謝すべきである。そしてバイデン政権高官たちのこのシンポリックな行為を単に象徴だけに終わらせず、実際の行動へとつなげていくことを強く要請し続けるべきなのだ。
▲写真 菅総理、茂木外相、岸防衛相とロイド・オースティン米国防長官とアントニー・ブリンケン米国務長官 出典:米国務省
だがアメリカ政府高官の拉致バッジ着用という、ささやかながら、大きな意味もありうる出来事にはちょっとした背景があった。日本側の拉致被害者の「家族会」、そしてその被害者たちを支援する「救う会」のメンバーたちが敏速かつ懸命にアメリカ側への訴えを伝えた結果だったのだ。
ブリンケン、オースティン両長官とも来日前は日本人拉致事件について語ったことはなかった。就任後まもなく、彼らの脳裏にはこの事件はまだまったく刻まれていなかったといえよう。それが来日してすぐに日本側の拉致被害者救出の努力と連帯することの証のバッジを着け、しかもこの拉致問題について語ったのだから、日本側にとっては好事態だった。
アメリカ側の両長官が拉致バッジを着用したのはその直前の日本側の拉致問題に関する「家族会」(飯塚繁雄代表)と「救う会」(西岡力会長)の敏速な努力の結果だった。
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