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米閣僚たちの青い拉致バッジ

Japan In-depth / 2021年3月23日 23時0分

閣僚会議の前日の3月15日、家族会の横田早紀江さん、横田拓也さん、そして救う会の西岡力会長が東京のアメリカ大使館を訪れ、ジョセフ・M・ヤング駐日臨時代理大使に面会して、ブリンケン長官らへの手紙を渡したのだ。その際に青い拉致バッジを10個、進呈していた。もちろんアメリカ側の代表にも連帯の意図の表明として着用してもらいたいという要望に基づいてだった。





日本人拉致問題に対してアメリカのトランプ前政権は大統領自身を含めて高官たちがきわめて前向きで協力的な言動をとってくれた。その積極的な協力がバイデン政権に引き継がれるかどうかが当面の最大の関心の的となった。なにしろバイデン政権にとっては日本人拉致解決という案件は白紙からの対応対象なのだ。





この3月15日の大使館訪問で家族会事務局長の横田拓也さんは、ヤング大使に「引き続きバイデン政権においても人権問題である拉致問題を重要視してほしい。北朝鮮が拉致問題を解決するまで強力な制裁を緩める事が無いようにお願いしたい」と述べた。そして家族会、救う会からのブリンケン、オースティン両長官あての書簡を手渡したのだった。





この書簡は北朝鮮政府工作員による日本人男女の拉致の歴史と現状、そしてその悲劇を説明し、超大国のアメリカの協力が貴重であることを強調していた。バイデン新政権もトランプ前政権と同様に積極果敢な協力をしてほしいという願いを切々と訴えていた。





書簡の最後は以下のように記されていた。





「人権・自由・法の支配を重んじるアメリカのバイデン政権におかれましても以上のような、拉致問題を巡る私どもの考えをぜひご理解頂き、対北交渉においては我が国政府と緊密な連携を維持し、全拉致被害者の即時一括帰国実現のためにご尽力下されば幸いです。特に全拉致被害者の即時一括帰国が実現するまで安易に制裁を緩めることがないように強くお願いする次第です」





上記の書簡を受け取ったヤング大使は、「必ずブリンケン国務長官に手渡す」と述べていた。その際に横田拓也さんたちが青い拉致バッジをも手渡し、できればブリンケン長官らにも着用してほしいと要望したのだった。









▲写真 メディアのインタビューに答えるアントニー・ブリンケン国務長官 出典:米国務省





ブリンケン長官は閣僚協議後の記者会見でもこの書簡に言及して次のように述べたのである。





「私はこの書簡に強い感動を覚えました。アメリカ側の外交政策の再点検でも日本人拉致事件は必ず重要な項目として存続するでしょう。私自身、この書簡を読み、日本側の方々との強い連帯を感じています」





だからこそ青いバッジをつけて、その連帯をみせた、ということだろう。こんなところで日本側の民間外交が予想以上の成果を生んだともいえよう。もちろんこれから先、バイデン政権が日本人拉致事件の解決にどれほどの助力をしてくれるのかは、わからない。だが少なくともその助力の意思を政権の代表が日本側に向けて言明するという展開は好ましいことだろう。





2人のアメリカ政府閣僚の胸にさりげなく飾られた青い拉致バッジにはそんな意味がひそんでいたともいえるのである。





***この記事は日本戦略研究フォーラムの古森義久氏の連載コラム「内外抗論」からの転載です。





トップ写真:日米安全保障協議委員会(日米「2+2」に出席するロイド・オースティン国防長官(左)とアントニー・ブリンケン国務長官(右) 出典:米国務省




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