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米インド太平洋外交、多難な船出

Japan In-depth / 2021年3月24日 7時0分

●その証拠に、米韓共同文書では中国に関する言及が一切なかった。北朝鮮の核問題でも、「北朝鮮の非核化」ではなく、既に破綻している「朝鮮半島の非核化」にしか言及しない。更に、米国が強く求めたはずの日米韓協力も、「地域の平和、安全及び繁栄のため、互恵的で前向きな協力を引き続き促進する」などと条件を付した。









▲写真 ブリンケン米国務長官と鄭義溶(チョン・ウィヨン)韓国外相。会合後の共同記者会見にて。(2021年3月18日ソウル) 出典:Lim Han-Byul - Korea Pool/Getty Images





■アラスカでの米中会合





最も興味深かったのはアラスカでの米中のやりとりだ。中国側はこれを「戦略対話」と位置付けていたが、成功には程遠い結果となった。新華社は「事前の打ち合わせどおり準備して臨もうとしたのに、米側の冒頭発言が予定時間を大幅にオーバーした」と米側を非難したが、真の原因が時間ではなく、発言内容だったことは明らかだ。





ブリンケン長官は冒頭から、「中国の行動に対する我々の深い懸念、新疆ウイグル自治区や香港、台湾、アメリカに対するサイバー攻撃、同盟国に対する経済的威圧についても話し合いたい。これらは内政問題ではなく、世界の安定を維持するルールに基づく秩序を脅かしているので、米側は取り上げざるを得ない」などと述べた。





これが中国人には受け入れ難い無礼に映ったのだろうか。中国人は、自分の面子を大事にする一方、相手にも他人の面子を潰さないよう求める傾向がある。冒頭から公衆の面前でここまで批判された以上、ここで沈黙できる中国要人はいない。ブリンケンは中国の「壊れた蓄音機」のスタートボタンを押してしまったのだ。





これに対する中国側の反論が興味深い。楊政治局員は、「私は(判断を)間違えた。入室した際、私は米側が冒頭発言のトーンに注意するよう伝えるべきだったが、私はしなかった。中国側が長く話した原因は米側発言のトーンだ。これが米側の望む対話のやり方なのか?米側は必要な外交儀礼に従うのだと思っていた。言わせてもらうが、中国側の前で、米側には強い立場から話したいなどと言う資格はない。」などと一気に畳みかけた。これほど怒りに満ちた中国要人の公開発言は聞いたことがない。





勿論、米側の冒頭発言は事前かつ周到に準備されたものだ。一部に「米側の挑発に中国側がまんまと嵌り、外交的醜態を見せた」とする分析もあるが、中国側は「礼儀を知らない米側の若造たちに反論した」ぐらいにしか思っていないはず。こんな米側のやり方で中国が譲歩するとは到底思えないのだが・・・。





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