米インド太平洋外交、多難な船出
Japan In-depth / 2021年3月24日 7時0分
今後米側は対中政策の見直しを進め、いずれ米中は妥協点を模索していくのだろうが、果たして大丈夫か。以前筆者は「今後世界は政治家レベルで判断ミスが繰り返される時代が来る」と書いた。今回のやりとりを通じて米中間、特に「面子を潰された」中国側に、感情的な「しこり」や「不信感」が芽生え、それが中国側の判断ミスを助長することにならないか、筆者は大いに懸念している。
〇アジア
フィリピン政府は、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島のサンゴ礁周辺に今月初旬、約220隻の中国漁船が集結していたことを確認、中国側に抗議したと発表した。これも海上民兵を使う典型的な中国海軍のやり方であり、恐らく米側に対する牽制か、テストなのだろう。フィリピンが再び「腰砕け」とならないことを切に祈ろう。
〇欧州・ロシア
EUの外交安全保障上級代表は、新疆ウイグルでの人権侵害をめぐるEUの対中制裁に対し中国が発表した報復制裁を「残念で受け入れ難い」と述べたそうだ。これも如何にも中国らしいやり方、すなわち「売られた喧嘩は必ず倍返しで買う」スタイルだ。中国はこれを何時まで続けるつもりなのか、結局は孤立するだけなのに。
〇中東
米国防長官が、日韓訪問後にインドを経て、アフガニスタンを予告なしに訪問した。ターリバンとの和平合意で駐留米軍が完全撤退する期限は数週間後に迫っている。一体米国はどうするつもりなのだろう。「引くも地獄、残るも地獄」の選択肢だが、米国の中東での判断は今やインド太平洋に直結するので大いに要注意だ。
〇南北アメリカ
78歳の米大統領は国内各地を遊説中だが、先日大統領専用機に乗り込んだ際、タラップ上で足を踏み外し数度にわたり躓いてしまった。保守系メディアは「鬼の首でも取ったように」はしゃいでいたが、どっちもどっち。バイデンにとっては、インド太平洋外交よりも、米国救済大型予算を如何に国内で売り込むかの方が重要なのだろう。
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:ジョー・バイデン米大統領 出典:Leigh Vogel/Getty Images
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