1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

法改正が後手に回ると(下)「墓石安全論」を排す その2

Japan In-depth / 2021年4月24日 23時37分

このように実効性を疑われても仕方のない面はあるのだが、やはりネットでの犯行予告を取り締まりの対象にしたことは、我が国の治安をよくする、という観点からは一定の効果は生まれたと評価できるのではないだろうか。





なぜならば、秋葉原連続殺傷事件を引き起こした当の犯人が、直前まで実行を躊躇していたが、ネットで予告した以上もはや引っ込みがつかないと考えて犯行に及んだ、という趣旨の供述をしている。今さら「たら、れば」を言ってなんになるのか、との批判は覚悟の上で、犯行予告の時点で警察が動いていれば……と考えてしまうのは、私だけではあるまい。









▲写真 警察(イメージ) 出典:Takashi Aoyama/Getty Images





現実に、ある小学校のホームページに「小女子を焼き殺す」などと書き込んだ若い男が検挙された例もある。なんでも当人は、「あれは<こうなご>と読むのです」などと言い訳したそうで、本当にそういう魚はいるが、もちろん笑いごとではない。





さらに言えば、前回取り上げたもうひとつの事例である飲酒運転事故については、厳罰化の結果として、同様の事故がピーク時の18%程度になったという統計もある。





もちろん、昨年来の新型コロナ禍で、そもそも酒を飲みに出かける人が減ったという要素もあって、そこは割り引いて考えねばならないのだが、飲酒運転事故が、厳罰化される以前に比べて80%以上も減ったという事実を前にして、法改正の効果を疑う人も、さほど大勢はいないであろう。





まだある。ごく最近、有名な女性歌手が「タクシーで尾行しているストーカーに気づいて」そのタクシーに乗り込んで抗議しようとしたところ、車内にいた男性から腕をつかまれるなどの暴行を受けたとして通報。男性は逮捕されたのだが、その後の調べて、女性の勘違いの結果つかみ合いになってしまったものと判明した。





これなどはまあ、笑い話(男性にすれば、いい迷惑だが)で済まされるが、深刻なストーカー被害は現実に数多くあり、いわゆるストーカー規正法の適用事例となっている。





この法律は1999年に埼玉県桶川市で起きた(桶川)ストーカー殺人事件を受けて、急遽成立し、施行されたものだ。この事件の被害者は女子大生で、加害者は元交際相手とその兄ら5人。交際を絶たれたことを逆恨みしての犯行だったが、当の元交際相手は事件後に自殺している。





この事件が起きる前から、無言電話や自宅周辺をうろつくなどの嫌がらせ(=ストーカー行為)を受けていたため、埼玉県警に相談したのだが、警察は動かなかった。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください