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法改正が後手に回ると(下)「墓石安全論」を排す その2

Japan In-depth / 2021年4月24日 23時37分

読者ご賢察の通り、当時はそうした行為を取り締まる法的根拠がなかったし、それ以前に「警察は民事不介入」という原則があった。男女間のもめごとに警察が介入すべきではない、と判断されたのだ。とは言え、調書の「告訴」を「届け出」と改竄するなど、明らかな怠慢であったこともまた事実で、この件は遺族が民事訴訟を提起し、埼玉県が慰謝料500万円を支払っている。





いずれにせよ、失われた命はもはや取り返しがつかないので、私が「墓石安全論」に与することはできないのも、このことが最大の理由である。





警察は民事不介入というのは、基本的に正しい理念なのかも知れないが、日本社会の現状は、それでは済まされなくなってきているのだ。





たとえば幼児虐待やネグレクト(育児放棄)によって、命を落とす子供が後を絶たない。児童相談所が介入するケースも多いのだが、これも基本的には家庭内の問題であるとして、子供を親の手から引き離すのはなかなか難しく、致命的な被害が生じない限る警察も動かないというのが現実である。





致命的な被害でなくとも、親から虐待を受けて育った子供の中には、成長して自分が親になると子供に同じことを繰り返したり、力をより弱い者に向ける犯罪(具体的には幼児や児童への性暴力など)を犯すようになりがちだという報告も、複数のカウンセラーや心理学者によってなされている。





これ以上の犠牲者を出さないためにも、世代を超えて被害者が再生産されてしまう傾向に歯止めをかけるためにも、児童相談所の権限を見直し、虐待の事案に対しては早い段階で警察が介入できるように、法整備を急ぐべきではないだろうか。





(その3に続く。その1)





トップ写真:京都アニメーション放火殺人事件で放火された建物(2019年7月18日 京都) 出典:Carl Court/Getty Images




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