ASM-3の生産は限定的となる
Japan In-depth / 2021年4月25日 11時0分
つまりASM-3は055型や052C/Dには通用しない。安価な054Aにもまずは通用しないのだ。
■ 米国はステルス・ミサイルを選択
では、どうすればよいか。
米国はステルス型ミサイルで対処しようとしている。レーダほかで発見しにくい。そのような対艦ミサイルで問題解決をはかっている。
見えないミサイルは迎撃できない。レーダや逆探でミサイル攻撃を探知できないので迎撃できない。運良くミサイルを見つけても照準が難しい。どうにか照準発射しても迎撃ミサイルが目標を追尾できない。そのような事態を期待できるのである。
そのためNSM/JSM導入を決めた。これはノルウェーが開発したステルス型のミサイルである。前者は軍艦やヘリコプター、陸上向けであり、後者はF-35F戦闘機ほかで利用される。
▲写真 NSMミサイル。米海軍は従来のハープーンに変わる艦対艦ミサイルとして選定した。分布式殺傷コンセプトから補給艦ほかにまで搭載するとされている。 出典:米海軍写真(撮影:Zachary D. Bell)
その特徴は次の3つである。
第1はステルス形状である。特に軍艦に正対するミサイル先頭部は徹底されている。クサビ状にされレーダ電波を軍艦に返さない。また速力も抑えており空気抵抗や排気熱で生じる赤外線放射も少ない。
第2に電波を出さないことだ。ミサイルはレーダではなくカメラ映像で軍艦を探す。正確には2波長併用式の赤外線画像誘導である。このため軍艦はミサイル電波の逆探知ができない。ミサイルを見つける有力手段が封じられるのだ。(*3)
第3は極超低空の飛翔だ。NSMは攻撃段階では高度3m以下、状況が許せば1mの高さで飛ぶ。それによりレーダ探知はさらに困難となる。電波地平線、海面乱反射、マルチ・パスに加えダクティング、干渉縞効果も期待できるからだ。これらの効果は以前の記事で述べたとおりである。(*4)(*5)
NSM/JSMの探知はむずかしいのである。特に軍艦レーダでの探知は特徴の第3から相当に厳しいのである。
▲写真 JSMミサイルの運用想像図。NSMを元にした戦闘機搭載用の空対艦型対艦ミサイルである。いまのところF-35で運用できる対艦ミサイルはこのJSMとLRASMだけとなる見込みである。 出典:製造元のKongsberg Defence & Aerospace ASホームページより
■ 比較されると保たない
このJSMミサイルは日本も導入する。F-35A/B型に積める対艦ミサイルはそれしかない。
この記事に関連するニュース
-
海自の「最新護衛艦」売って! いや“アタマだけ”売って! 政府が夢見た“輸出”に現実味 何がよかったのか?
乗りものニュース / 2024年11月27日 9時42分
-
海自がロシア軍の「巨大な最新原潜」を初確認!北海道沖に現れる 防衛省が画像公開
乗りものニュース / 2024年11月13日 6時12分
-
「気付いたら“狩る側”になってました」 米陸軍が大量導入した「対ドローンミサイル」の“意外な正体”
乗りものニュース / 2024年11月9日 7時42分
-
「スマホ投稿」が暴露した秘密...台湾防衛が中国に筒抜けとなる理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月7日 13時30分
-
自衛隊の「宇宙船みたいな新兵器」ついに試作へ!? “未来の海戦”で重要な役割 対艦ミサイルも発射可能
乗りものニュース / 2024年11月6日 11時42分
ランキング
-
1建築火災の専門家「密閉的な空間で放火されたらどうしようもない…」札幌すすきの“ガールズバー”爆発火災 火を放った疑いの41歳男性と20代女性従業員の間で交際トラブルも
北海道放送 / 2024年11月27日 19時56分
-
2玉木氏「パフォーマンスなので」 企業・団体献金の禁止めぐり 国民民主が野党協議欠席
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 18時21分
-
3出品者に情報提供求める=アマゾンジャパンの独禁法違反―公取委
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
-
4斎藤元彦知事の代理人、PR会社経営者の投稿は「事実を盛っている」…広報全般を任せた「事実ない」
読売新聞 / 2024年11月27日 20時27分
-
5国民民主・玉木氏、異例の官邸訪問=石破首相に原発新増設を要望
時事通信 / 2024年11月27日 20時9分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください