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混迷極めるミャンマーの行方

Japan In-depth / 2021年5月4日 21時49分

2月1日のクーデター後、欧米諸国は即座に一方的経済制裁を課した。ミャンマー軍は、国家の中の国家と言われ、国の基幹産業をその配下に置き、そこから得られる収入で軍を支えている。そのため、軍が関与している産業に経済制裁を加えることで、軍への圧力を加えて民主化への逆行への足掛かりを掴もうとしている。





米国は、先ず、軍事司令官を含む10人の軍事指導者やルビーや真珠、貴金属を扱うミャンマーの3社に対し国内での資産凍結を行い、さらにミャンマー経済ホールディング公社(Myanmar Economic Holding Public Company)とミャンマー経済企業(Myanmar Economic Corporation)など、銀行や物流、建設業、食料、飲料、貿易、天然資源、アルコール、タバコ、その他の消費物資といったミャンマー経済に深く根を下ろした産業を傘下に持つ企業に対して制裁を課している。





EUも同様の制裁を課しているが、さらに渡航制限や武器の禁輸、治安当局が使用する機器などの輸出禁止などの措置も取っている。G7諸国の中で経済制裁を課していないのは日本だけとして、欧米における日本への批判も高まっている。





このような動きの中で、ミャンマー情勢に詳しいASEANの元外交官などは、西側諸国の過去のミャンマーへの経済制裁は何らの成果も生まなかったとして、欧米の一方的な制裁行動に批判的な立場を取り、文民政権を取り戻す方策として唯一考えられるのは、アウン・サン・スー・チーを政治の世界から追放するという軍事政権に歩み寄る他ないとの認識を示している。欧米の経済制裁はミャンマーをより中国寄りにするだけであり、ASEANもその一員であるミャンマーを見捨てることはないだろうとしている。





ASEANも、タイのような軍事政権、カンボジアやフィリピンのような権威主義的国家、ベトナムやラオスのような社会主義国家、ブルネイのような王政国家を内包していることから複雑な域内事情を抱えており、民主主義の原則でミャンマーを疎外視することは困難ということになる。









▲写真:選挙活動を行うアウン・サン・スー・チー氏(2015年10月24日 ヤンゴン・カウム郡区)。文民政権を取り戻す唯一の方策は、アウン・サン・スー・チー氏を政界から追放するという軍事政権に歩み寄る他ないとの声も。 出典:Lauren DeCicca/Getty Images





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