混迷極めるミャンマーの行方
Japan In-depth / 2021年5月4日 21時49分
他方、国連は、安保理のプレス声明からも読み取れるように、暴力の即時停止や対話による情勢の安定化は求めても、事務総長や事務総長特使による対話への努力や人道支援以上の具体的な行動は取れない状況にある。
日本国内でも、ASEANに加えて日中韓を加えたより大きな地域的枠組による軍事政権側と民主派・少数派武装組織との対話を求める声があるが、中国がそのような動きを支持する気配は今のところない。中国は、ミャンマーの真の民主化には関心はなく、軍による安定化を望んでいると見られている。
また、元国連関係者の中には、国連とASEANによる文民派遣団によって政治対話を促し、人権の監視と保護を行い、民主選挙の実施に向けた活動を行うべきだとの声もあるが、これも、ミャンマー情勢の国際化に反対する軍事政権に受け入れられる余地は当面ない。
ミャンマーの民主勢力は、反軍事政権政府を樹立し、連邦制度を導入する憲法採択を目標に掲げて少数民族の武装勢力と手を組み、軍事政権に対峙している。民主勢力による非暴力抵抗は形を変えて継続しており、700人を超える死者を出してはいるものの、この機会を失っては憲法を変え、真の民主主義は達成できないとの認識を明確にしている。
ASEANによる対話への模索は当面続くと予想されるものの、成果はあまり期待できず、ミャンマーは、政治情勢のさらなる不安定化、武力衝突の激化、経済の低迷、新型コロナ禍の拡大を含む人道危機がさらに深まる中で、混迷の時期が続くのではないかと危惧される。今の軍事政権がこのような状況の中でどこまで権力を保つことができるかが鍵を握ることになろう。
トップ写真:国民民主連盟(NLD)党本部の前に集まって軍のクーデターに抗議する人々(2021年2月15日 ミャンマー・ヤンゴン) 出典:Hkun Lat/Getty Images
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