モンデール元副大統領と日本(中)駐日大使に任命
Japan In-depth / 2021年5月5日 23時0分
実際には当時のクリントン政権はなお日本の対アメリカの巨額の貿易黒字や日本の市場閉鎖性を非難していた。モンデール氏が84年に提起していた「日本との経済問題」は民主党政権としてなお重視していたのだ。
しかしモンデール氏はその種の話題を避けて、次のようなことを一気に語ったのだった。
「日本への赴任は妻とともに心から楽しみにしています。これからのアメリカにとって駐日大使というのはおそらく、最も重要で、最もチャレンジングなポストになるでしょう」
「日本では政治家の平均年齢が高いから、私も若手とみなされそうですね。大平正芳元首相には親愛感を抱いていたので、彼の急死はとても残念に思いました」
「私が副大統領の時代には、よくエドウィン・ライシャワー元駐日大使から助言を受けていました。彼の日本についての知識や愛着には感嘆していました」
▲写真 ライシャワー駐日大使とハル夫人 出典:Bettmann / 寄稿者
こんな話が進むうちに、かたわらに立っていたモンデール氏のジョーン夫人が会話に加わってきた。ベージュのドレスの長身で優雅な女性だった。
「実は私の母とライシャワー氏はイトコ同士なのです。日本では美術や芸術に魅せられるでしょうが、日本の女性問題にも強い関心があります」
▲写真 モンデール副大統領とジョーン夫人(左)。カーター大統領夫妻と。(1977年01月21日 ホワイトハウス) 出典:Barry Soorenke/Consolidated News Pictures/Getty Images
モンデール氏は他のゲストのワシントンの古参ジャーナリストや外交関係者たちとも率直に話していた。クリントン政権のミスや駐日大使の任命のジグザグというようなことまで率直に、ユーモアまじりに語るのだった。
このレセプションの終わりに近いところで、遅れてきた中年女性がモンデール氏に対して「お名前は?」と尋ねる一幕があった。女性はあわててやってきて、いきなり目の前に現れた元副大統領の顔を一瞬、認識できなかったのだろう。
モンデール氏は笑顔を崩さずに応じていた。
「ウォルター・モンデールと申します」
周囲が笑い、その女性もすっかり恐縮すると、モンデール氏は共和党の古い政治家の名前を出し、「彼は会った相手が自分の名前を知らないと、すぐに怒るので有名なんですよ」と述べて、その場の空気を和らげたのだった。
以上がモンデール氏の日本非難発言に関する私の体験だった。
(下につづく。上はこちら)
トップ写真:モンデール副大統領と福田赳夫首相(1977年1月31日 首相官邸) 出典:Getty images
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