ミャンマー、実質的内戦状態へ
Japan In-depth / 2021年5月23日 19時0分
4月24日にインドネシアのジャカルタで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)のミャンマー問題を協議する「臨時首脳会議」に「ミャンマー首脳」として軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官が首席してASEANメンバー国の首脳、外相クラスと直接会談に臨んだ。
▲写真 AEANに出席するミン・アウン・フライン国軍司令官の指名手配ビラを手にする反政府市民ら(インドネシア・ジャカルタ 2021年4月24日) 出典:Ed Wray/Getty Images
NUGはこのASEAN臨時首脳会議に「ミャンマーの唯一で正統な政権」として参加を打診したものの拒否された経緯がある。その後軍政はNUGを非合法組織として閣僚らの摘発に乗り出しているが、NUGのメンバーの多くはすでに拘束されているか国内外に潜伏しながらの活動で軍政の頭痛の種となっている。
こうした中NUGは各地で市民を軍の横暴、残虐行為、人権侵害から守るためとしてこれまでの無抵抗非武装路線を変換して「国民防衛部隊」という独自の部隊創設を明らかにした。詳細は明らかではないが軍政の監視や報道検閲を逃れながら情報発信を続ける地元メディアなどによると、「国民防衛部隊」は各地方にそれぞれ「市民武装組織」なるものを作り、少数民族武装勢力で軍事訓練、武器供与を受けた若者を中心に武装した市民、市民による「不服従運動(CDM)」に共鳴して軍や警察を離脱して市民側に合流した兵士や警察官などによって編成されていという。
こうした「武装市民」は各地で少数民族武装勢力と共同作戦や単独行動で軍の拠点や軍の車列への攻撃を繰り返し、その頻度が5月に入って急増している。
5月12日には西部チン州の都市ミンダットで「チンランド防衛隊」という地元の住民武装組織が軍の拠点を攻撃したほか、5月14、15日には東部シャン州北部で少数民族武装勢力の「カチン独立軍(KIA)」が軍の車列を待ち伏せ攻撃するなど各地で戦闘が激化している。
軍はミンダットに戒厳令を布告するなどして奪われた拠点などの奪還作戦を継続するとともに空爆や砲撃による攻撃を強めており、ミャンマー東西の国境地帯では少数民族武装勢力と住民武装組織と軍による実質的な「内戦状態」に陥っているといえる状況だ。
▲写真 手製の銃で武装する反政府市民勢力(ミャンマー・ヤンゴン 2021年4月3日) 出典:Stringer/Getty Images
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