開戦も開催も大義名分なし「コロナ敗戦」もはや不可避か その3
Japan In-depth / 2021年5月25日 11時0分
東北出身のサンドイッチマンというお笑いコンビが、
「ちょっとなに言ってるか分かんないですけど」
というネタをよく使うが、まさしくこういう時に使う言葉ではなかったか。
コンパクトでエコロジカルな大会などという、妙なカタカナまじりの標語もあったが、そう言って招致しておきながら、蓋を開けてみれば史上空前規模の投資が必要になった。
東北復興については、海外のマスメディアが、福島第一原発の汚染物質処理は本当に大丈夫か、と心配する声を上げたのに対し、安倍前首相は自信満々に、
「完全にコントロールできている」
と言い切ったものだ。現実には、五輪開催まで100日を切った時点でなお、汚染処理水の海洋投棄の問題で、地元漁業関係者から強い反対の声を受けている。これについては、
「中国や韓国が反対し、これに同調する原発反対派が煽っているだけ」
などという声もよく聞かれるのだが、こうした問題がまったく起きないようであってはじめて「完全にコントロールできている」と言い得るのではないだろうか。
そうかと思えば、TV放映権料の都合で、具体的には他の大きなスポーツイベントがないという理由で7月に開催すると決めておきながら、やはり真夏の東京は酷暑だということで、花形競技であるマラソンが札幌で行われることになってしまった。
今年に入って、様々な競技で予行練習と最終選考を兼ねる「プレ大会」が開催されているが、これがまた悪評ふんぷんである。
たとえば射撃だが、陸上自衛隊の駐屯地で開催したものの、女子更衣室が準備されておらず、やむなくトイレで着替えた選手がいたという。
他にも多くの種目で、選手がホテルに軟禁状態となって弁当のような食事しか供されず、
「日本食や自由時間の外出を楽しみにしていたのに……」
という不満の声がさかんに聞かれる。
本番では、選手の家族も入国を認められない見通しであるため、女子サッカーでは子供を持つ選手が代表辞退すべきか悩んでいると聞くし、すでに
「お・も・て・な・し」
の実態はどこにも存在しないのだ。
いや、それどころの騒ぎではない。大会期間中、選手や関係者が出歩かないように「監視員」を配置するとか、海外の要人が来日しても、選手との接触は禁じるとか、これではまるで戦時捕虜である。
日本の選手団も含め、コロナとの戦いとの「二正面作戦」を強いられるからこうなるのだが。これでは大会のよい思い出を持ち帰ることなど期待できまい。だからこそ、多くのアスリートが開催を疑問視する声を上げるまでになったのではないだろうか。
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