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朝日新聞の悪魔化語法ふたたび

Japan In-depth / 2021年5月25日 19時0分

この朝日新聞記事は冒頭で特高を悪逆非道の組織、つまり悪魔の組織として断定し、それから80年後の日本の入国管理局がその特高の「体質を引きずっている」と断ずるのだ。だがその証拠はなにも提示されない。





そもそも戦前の日本の体制下でのプロレタリア作家の「拷問死」を現代の日本のスリランカ女性の死と重ねるという発想は、あまりに一方的、主観的で情緒的にすぎる。





まず第一に、スリランカ女性の死の詳しい事実関係はわかっていない。だが80年前の日本人作家の死と同じだとの勝手な推定が全面に押し出される。





第二には、80年前の特高と現在の入国管理局が同じ体質を持つという推定の根拠もなにも提示されていない。





特高の最大任務は日本国内の治安の維持だった。一方、いまの入国管理局にはそんな任務はない。英語の表現を借用するならば、リンゴとオレンジを混ぜているようなものだ。





要するにこのコラムは本音として「いまの日本の入国管理局は戦前の特別高等警察と同じ体質だ」と断定しているのだといえる。だがその客観的な証明は記されていない。筆者がただそう思うから、そう書く、という次元の記述なのである。日本の入国管理局の名誉を棄損することともなりかねない。そもそも戦前の日本と現在の日本との根幹での相違を無視しているのである。





朝日新聞はこの悪魔化筆法ではよくナチス・ドイツを使ってきた。ヒトラー独裁下のナチス政権のユダヤ人大虐殺に始まる蛮行は、戦後の世界では悪魔に等しい邪悪の行動として定着してきた。





朝日新聞は自分たちの敵、たとえば安倍晋三政権の政策や人物をそのナチスのどこかに結びつけて、「ナチスに等しい」「ナチスと同様の」と頻繁に断じてきた。今回はナチスのかわりに日本の特高警察が使われたのだ。





今回のスリランカ女性の死は当然ながら悲劇である。起きてはならない出来事だったともいえよう。だがその死について考えるときに、80年前の日本人プロレタリア作家の死と重ねあわせる、というのは異様である。その連結にはなんの根拠もない。





いまと80年前とでは日本も、世界も、そこで生きる人間個人も、その個人を扱う政府のあり方もみな大きく異なるのだ。





朝日新聞はそれらの現実を無視して、ひたすら自らの敵への攻撃のために、無関係の2点、2件を同一に重ねあわせているのである。





トップ写真:朝日新聞東京本社(1994年2月1日) 出典:Bernard Annebicque/Sygma/Sygma via Getty Images




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