先人たちの夢が今日の日米関係に ニューヨーク日本人墓地墓参会110年
Japan In-depth / 2021年6月5日 10時37分
以来、同日系人会は、日系人のほか、「ビジネスや学術研究などの目的で渡米した日本人」も対象の活動を続けており、元駐在員だった私も2007年から会員である。
同会では、高齢化する日系人のための敬老会や無料のヘアカットなどを提供している。このほか、日系人・日本人美術家展覧会、日本人墓地墓参会、地域の慈善・ボランティアなど多様な活動を続けている。
▲写真 高見豊彦医師とその子孫の墓 Ⓒ津山恵子
日系人会に出入りして強く感じたことは、同会設立に貢献した高見医師をはじめ、日本人・日系人が戦前から現地に根を下ろそうとした血の滲むような努力の上に、私たちの生活が成り立っているということだ。共同通信社の特派員として渡米した私も含め、実に多くのビジネスパーソンと家族や留学生がニューヨークの地に住んだ。私が渡米した2003年には、日本食レストラン、日本食スーパーマーケットだけでなく、日本の美容室、日本のパソコン修理屋まであり、驚いた。環境だけでなく、日本人といえば、ニューヨーカーの誰もが暖かく、困った時も手を差し伸べてくれる。
2020年春に新型コロナウイルスの感染拡大が広がるまでの在米17年間、差別や嫌がらせを受けたことはほとんどなかった。しかし、トランプ前大統領が、新型コロナを「チャイナ・ウイルス」と今日まで一年以上にわたり呼び続けている。このため、アジア系市民に対する攻撃やヘイトスピーチが急増し、あとを絶たないのは、非常に残念だ。日本人だけでなく、中国・韓国・フィリピン・インド系など多くの移民の祖先が、根を下ろすために困難を乗り越えてきたことに対する揺り戻しでもある。
ワクチン接種が進み、急速に経済の全面再開と、その後の経済成長に近づく米国で、多くのアジア系は「コロナの次はヘイトか」と震え上がっている。
▲写真 アジア人ヘイトクライムに反対する集会(ニューヨーク、2021年4月4日) 出典:Spencer Platt/Getty Images
しかし、日系人会の墓参会を含め、長く続ける活動と、日本人・日系人とニューヨーカーの助け合いがますます重要だと、パンデミックの間、痛感した。
日系人会は2020年5月から、日系人高齢者に対し会員ではなくても、週に一回お弁当を届ける「プロジェクト弁当」を続けた。私の親しい日本人友人らが、酷暑の夏、極寒の冬も歩いてお弁当を高齢者に届け、安全を確認した。私自身は、日系人会のプログラムであるビジネスウーマンの会(JWB)が主催するウェビナーで、2020年大統領選挙などの講演を3回行い、プロジェクト弁当を作ってくれる日本食レストランに支払う資金を集めた。
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