元タカラジェンヌがボートレースの世界に見出したもの
Japan In-depth / 2021年6月8日 23時56分
そう水谷さんは言う。
そして、もう一つの共通点がある。宝塚もボートレースの世界もどちらも「実力社会」だということだ。宝塚では、演技力や人気がないと舞台に立ち続けられない。実力で役を勝ち取るのみである。ボートレースの世界もそうだ。水上で年は関係ない。速さが正義。実力ある者だけが勝者たりうる。一方で、どちらの世界も上下関係が厳しい。矛盾しているように感じるが、「実力社会」は舞台の上、水上のみの話。それ以外では、先輩・後輩の縦社会なのだ。
宝塚では、舞台に向けての稽古場での稽古時、後輩が先輩の小道具などを用意する。ボートレーサーの世界も同じ。後輩はレース中の選手の次のレースの枠番を確認し、その艇旗と艇番をすぐ付け替えられるように準備したり、レース直後に水浸しになっている選手のボートを拭いたりする。また、次の日のレースの番組が決まった時点で枠番を確認し、艇旗と艇番を先輩選手のボートに用意しておく。毎日繰り広げられる激戦を万全の態勢で迎えるため、ひと時も気を緩めることはできない。
▲写真 ボートの前に付いている旗が「艇旗」ボートのサイドに書かれている数字が「艇番」 提供:ボートレース桐生
だが、単純な縦社会というわけでもない。どちらの世界でも、先輩が懇切丁寧に後輩の指導にあたるのだという。でも、フランス料理の世界などでは、下の者は上の者の技術を盗むしかない、などという話を聞いたことがある。先輩が技術を出し惜しみするようなことはないのだろうか?
「そんなことはないですね」
水谷さんはそんな私の疑問を見透かしたように一蹴した。
「宝塚では後輩の演技を見ていて、ちょっと違うなと思ったら、後であの時はこうした方がよかったんじゃない?などとまめに指導するのが当たり前でした」
ボートレースでもレース後の反省会で、先輩が熱心に後輩の指導にあたるという。そこも宝塚とボートレースの世界の共通点だ。惜しみなくノウハウやスキルを後輩に伝授することが、全体のパフォーマンスを高めることにつながると、みなわかっているのだろう。
▲写真 身振り手振りを交えて話す水谷さん ⒸJapan In-depth編集部
■ ヅカ時代の経験を生かして
水谷さんは現在のボートレースのリポーターという仕事に今までの経験を存分に生かしている。これまでは、舞台に立ち続ける立場としてずっと質問を受ける側の人間だった。それが一転、質問をする側に変わった。そこに仕事の楽しみの根源があるという。
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