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米台中三極関係を読む(下)~中国はなお米との軍事衝突を避ける~

Japan In-depth / 2021年6月16日 18時0分

サタ―氏はこの軍事面について注目すべき解説を述べるのだった。





サター氏:「確かに台湾をめぐる軍事情勢は大きな危険をはらんでいます。中国が台湾での戦争を想定した軍事能力でもアメリカ側をやがて上回ると予測する専門家はアメリカ側にも存在します。もしそうなると、中国の軍事力、実際の軍事攻撃を抑止するアメリカ側のパワーも減り、台湾への対応が難しくなることも事実でしょう。





しかしそれでもなお中国側は当面の間、台湾問題で軍事力を使い、アメリカと戦争状態に入ることはあくまでも避けるだろうという現実の展望を私は強調したいです。中国は現段階では台湾をめぐる全面的な戦いでアメリカを圧倒するだけの能力は持っていません。





アメリカは東西冷戦では同盟諸国とともに強大な軍事力を持つソ連をみごとに抑止しました。ソ連の通常戦力がアメリカ・西欧側よりも強かった時代が長く続いても、西側の抑止は成功したのです。その際の教訓、そして精神によって中国に対する抑止も十分に可能なはずです。





中国はそのうえにアメリカとの軍事衝突を少なくとも当面は絶対に避けたいという実態が存在します。軍事衝突につながりうる対決を避けたいのだ、ともいえます。その理由としては中国自体をさらに発展させるための経済面での当面のアメリカへの依存、中国の生存に不可欠な海上輸送路の温存、アメリカ圏に帰属する日本などの諸国との経済の絆の堅持などがあげられます」





以上のサタ―氏の発言はとくに注目すべきだろう。





中国は台湾問題でアメリカに対していかに激しい抗議や反対を述べても、いまのところは軍事衝突は避けたいというのが真意だというのだ。だからバイデン政権がこのまま台湾との交流をさらに拡大し、緊密にしても、中国がそれを理由に軍事対決を迫ってくるという見通しは少ない、というのである。





アメリカによるさらなる台湾接近は戦争の危険をともなうことはない、という意味にも解釈できる。









▲写真 中国・習近平国家主席(2021年3月11日 全国人民代表大会) 出典:Kevin Frayer/Getty Images





では中国はこんごアメリカの台湾接近などにどんな対策をとってくるのか。





サタ―氏はまずアメリカにとっての台湾接近の効用を強調した。





サター氏:「アメリカが台湾との絆を強めることは中国に対して台湾以外の領域での無謀、無法な行動を抑える効果を発揮します。中国にとってのいわば弱みといえる台湾に関してアメリカが中国の主権をも侵しかねない措置をとろうとすることは、中国に他の領域での自制や抑制をもたらす効用があります」





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