菅内閣支持率最低に 短命政権の可能性強まる
Japan In-depth / 2021年6月23日 11時0分
政府が緊急事態宣言を発令すれば、休業要請や命令が可能となる。ただその場合は、政府が休業補償の手当てを出すなど政府負担も増える。このため、政府はより緩やかな「蔓延防止等重点措置」にとどめようとしたが、専門家から「それでは手ぬるい」と反発され修正を余儀なくされた。政策を小出しにするため、かえって感染を急拡大する結果になっているのだ。しかも国民の間に自粛疲れが出てきており、政府の宣言効果も効きにくくなっているのが実情だ。最近はコロナの変異株デルタが猛威をふるっているといわれ、コロナ禍は全国に広がってきている。
こうした国の危機にあっては、本来なら首相が先頭に立ち、医療業界や各自治体との連携を密にし、毎日でもコロナ収束への方針や実情を報告して国民を安心させるべきだろう。しかし現状は緊急事態宣言の発令やその範囲、休業要請のあり方などをめぐって自治体や医療業界、医療専門家との間でスムーズな意思のすり合わせができているようにはみえず、むしろギクシャクしたやり取りの方がもれてきているのが実情だ。菅政権の統一した思想、対策方法がみえず逆に方針が後手後手にまわってブレているように見えている。
菅政権はコロナ対応で加藤官房長官、田村厚労大臣、河野ワクチン担当大臣、西村経済再生担当大臣などが個別に分担し会見を行なったりしているが、官邸主導の“危機管理対策”本部を設けて情報を一本化し、毎日会見を行なうぐらいの対応を行なうのが普通だろう。国民はおそらくワクチン接種を早く終えて、とにかくひとまず安心したいというのが本音なのだ。今の流れからすると70歳代以上の高齢者へのワクチン接種は7月末までに終了させるというが、一般の人に行き渡るには1年以上を要するのではないか。先進国の中でワクチン接種とコロナ対策が最も遅れているのは日本だ、というのは世界に知れ渡っており、ワクチンの獲得でも後手を踏んで四苦八苦しているのだ。菅首相は日米首脳会談でワクチン接種の協力を仰ぎ、帰路にアメリカの薬品メーカーと話し合ったとされるが、肝心の契約の取り交わしは行っておらず、ワクチン輸入も結局1ヵ月以上遅れてしまった。
一方のオリンピックは、世界の6割以上、日本国民の約7割が中止すべきだと指摘しているのに、一度走り出すと“やめる決断”ができないのが、日本の特徴で、オリンピック関係者は連日の開催に向けてオーバーワークを続けているという。この問題も五輪組織委員会だけの課題ではなく日本の存在が問われている重要なテーマだ。
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