バイデン政権の北朝鮮政策が日本に投げる影
Japan In-depth / 2021年6月25日 23時30分
バイデン政権は外交面ではまず最大は中国、そしてロシア、イランなどの課題に忙殺され、北朝鮮との交渉を実現するための顕著な努力や工作がみえてこない。政権幹部も北朝鮮問題を具体的に論じることがきわめて少ない。
戦略国際問題研究所(CSIS)副所長で朝鮮情勢に詳しいビクター・チャ氏も「バイデン大統領はいま北朝鮮問題に正面から取り組む余裕はないだろう」と論評した。優先順位がそれほど高くない、という意味でもある。
▲写真 ビクター・チャCSIC副所長 出典:U.S. gov./Wikimedia Commons/Public domain
要するにバイデン政権にとっての北朝鮮問題はトランプ前政権時代のような切迫性や緊急性がないということなのだ。
この点は大統領自身が連日のように北朝鮮問題を口にしていたトランプ政権時代とはまったく異なってしまった。首都ワシントンの国政の場で北朝鮮が話題になること自体がほとんどなくなってしまったのだ。
この点はバイデン大統領自身だけの責任ではないが、大統領も、その側近も北朝鮮に関する課題に言及しないという現実があまりに明白なのである。その理由の一端はバイデン政権がまず内政問題に忙殺され、外交面でも中国への対応に追われるという政権にとっての政策の優先順位だともいえよう。
第二にはバイデン政権の北朝鮮への姿勢では軍事関連の選択肢への言及が皆無という特徴である。
トランプ大統領は北朝鮮に「炎と怒り」という表現で武力行使の脅しをかけた。北朝鮮が核とミサイルの道を疾走するなら北朝鮮という国家を壊滅させるとも述べた。同時にトランプ政権の内外でも軍事オプションが具体的に語られた。サイバーや電磁波の攻撃までが論じられた。
この間、金正恩委員長は一貫してアメリカとの協議を求め続けた。その要請は必死だった。アメリカ側が何度も、協議の中断を言明しても、そのたびに金委員長は自国の要求のハードルを下げても、とにかくアメリカとの協議を求めた。
だがバイデン政権が軍事に触れることはまったくない。北側への軍事圧力はないわけだ。
外交関係評議会米韓部長で朝鮮問題の研究が長いスコット・スナイダ―氏は「金正恩氏はトランプ前大統領が北朝鮮の壊滅を語った時だけは核開発の停止を真剣に考えただろう」と軍事威嚇の効用を認めた。
▲写真 スコット・スナイダ―氏 出典:米外交関係評議会(CFR)ホームページ
要するに、北朝鮮にとっては自国の存亡、金正恩氏にとっては自分自身の政権の存亡の危険が語られるか否かで、対応が異なるのは当然のわけだ。だがバイデン政権の新政策からは北朝鮮に真の脅威感を与える軍事の要素がまったく感じられないのである。
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