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バイデン政権の北朝鮮政策が日本に投げる影

Japan In-depth / 2021年6月25日 23時30分

第三はバイデン政権が北朝鮮が一貫して求めてきた「段階的な非核化」に同意したとみられる点である。





バイデン政権の高官たちは北への新たな政策が非核化の一部の措置に対北制裁の一部の解除で応じる「行動対行動」方針となることを認めた。この方式は段階的な非核化ともいえる。北朝鮮が一つの行動をとれば、アメリカも一つの行動をとる、というわけである。





だが北朝鮮はこれまでこの方式で制裁解除や援助という実益だけを得て、核破棄のための実際の行動はとらなかった。そんな行動をとったようにみえても、実際の効果を伴っていなかったことが何度も判明した。北朝鮮の偽装や欺瞞の定型だともいえる。





ブルッキングス研究所上級研究員で北朝鮮核問題の専門家ロバート・アインホーン氏は「段階的な非核化という方式は検証が難しく北朝鮮を有利にしてしまう」と指摘した。









▲写真 ロバート・アインホーン氏 出典:U.S. Department on State





要するに、段階的な非核化の方式では不可避的に北朝鮮が有利になる、というわけである。北朝鮮は偽装した非核措置をとったことを宣言し、アメリカ側に制裁の一部を解除させるという技術には天賦の才を発揮してきた実績があるのだ。





以上のようにバイデン政権の新政策は北朝鮮に余裕を与え、制裁の解除という大きな利益だけを獲得させる危険をはらむのである。





ではこのバイデン新政策は日本にどのような意味を持つのか。





これまた結論をまず述べるならば、この新政策がもたらす展望は日本の拉致事件解決の努力への阻害ともなりかねない。北朝鮮のいまの窮状を和らげることに通じかねないからだ。





金正恩委員長が日本人の拉致を改めて認めて、被害者の帰国に応じるには、現状では北の国家も金政権も困り果てるという状態が続くときだろう。拉致事件解決によって得られるプラスの大きさを認めざるを得ないときだともいえよう。





いまの北朝鮮は間違いなく苦難、苦痛の状態にあるだろう。従来の制裁に加えてコロナウイルスでの経済被害、そして天災もからむ食料不足と、国家、国民にとっての苦境は確実である。





こんなときにバイデン政権が非核化交渉の再開により、その段階的な手法で北朝鮮への制裁を一部でも解除し、北朝鮮にとって苦境を和らげることは日本からの拉致解決の求めに応じる動機を減らすことにつながるわけである。





だからどうしてもバイデン政権の北朝鮮への対応は日本にとっての暗い影を思わせるのである。





トップ写真:奴隷解放記念日「ジューンティーンス」(6月19日)を連邦の祝日にする法律に署名する前に、聴衆に投げキッスをするバイデン大統領。(2021年6月17日 ホワイトハウス) 出典:Drew Angerer/Getty Images




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