子どもにワクチンは大丈夫?
Japan In-depth / 2021年6月27日 19時0分
この臨床試験は、小児2,260人をワクチン投与群とプラセボ群にランダムに割り付け、効果および安全性を評価した。ちなみに投与量は成人と同じ30µgだ。発達途上の12-15才に、成人と同量のワクチンを打てば過量になるかもしれないという懸念があった。
この試験では、2回目接種後の38度以上の発熱は20%、倦怠感は66%で認められたが、これは18-65才を対象とする先行試験での17%、75%と同レベルだった。
一方、効果に関しては、ワクチンの効果が期待できる2回接種から一週間以降の分析では、プラセボ群では16人がコロナに感染したのに、ワクチン接種群では誰も感染しなかった。有効性は100%ということになる。安全性、有効性共に有望な結果だ。
ファイザーと並びワクチン開発をリードする米モデルナの報告も同様だ。彼らが5月25日に発表した第2/3相臨床試験(TeenCOVE)には、12~18才の約3,700人が登録されたが、2回接種後のコロナ予防効果は100%で、副反応も大きな問題とはならなかった。
5月10日、米食品医薬品局(FDA)は、12-15才に対するファイザー製のワクチンの緊急使用許可を認めているし、6月10日にはモデルナがFDAに緊急使用許可を申請している。
かくの如く、世界は小児への接種に積極的だ。これは英国株が拡大し、小児の感染者が増えているからだ。今年3月から4月にかけて、米国での小児の入院は人口10万人あたり0.6人から1.3人へと増加した。入院した小児の約3割は集中治療室での管理が必要だった。感染力が強いインド株が蔓延すれば、さらにこの傾向が強まるだろう。ワクチン需要は増すはずだ。
ただ、小児に対する有効性や安全性については、数千例の臨床試験が二つ報告されているだけだ。長期的な安全性や稀な副反応は不明で、現時点でわかることには限界がある。
では、何が問題となりうるだろうか。世界の専門家の関心を集めているのは心筋炎だ。6月10日、米疾病管理センター(CDC)は、30才以下でファイザーあるいはモデルナ製のmRNAワクチンを接種した人のうち、475人が心筋炎と診断されたと発表した。ほとんどは後遺症なく回復していたが、15人は依然として入院し、3人は集中治療室に入っていた。特記すべきは、大半が若年者の二回目接種後に起こっていたことだ。
このことについては、イスラエルからも同様の報告がある。同国では、昨年12月から5月にかけて約500万人にワクチンを接種したが、このうち275人が心筋炎と診断された。148人はワクチン接種後、早期に発症しており、多くは若年男性の二回目接種後であった。
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