「ようやく子どものもとへ」25年間暴力を振るい続けた夫殺害女性に判決
Japan In-depth / 2021年6月28日 16時0分
しかし、その日々は過酷だった。朝起きてすぐののしられることから始まり、日常的に身体的暴力を受けた。夫となった男性は昼と夜には帰ってくるため、家を空けることもできない。そうしているうちに、夫所有のバンの中で売春することも課されるようになる。
高速道路のパーキングエリアに停められたバンの中で売春をさせられた。しかもその行為時には、空けられた穴から夫が覗き、イヤフォンを通じて彼女に「指示」を与えていたというのだ。そんな苦痛の日々は14年間続いた。「千回ぐらい、逃げたいと思った。」と当時の様子をふりかえる。しかし、定期的にピストルで彼女を脅かす夫から逃げる方法はないと思っていた。
■ 引き金になったのは、娘が14歳になったとき
このような生活が続いていたが、引き金になったのは娘が14歳の時だ。父親である夫に娘が「性活動はどんな感じだ?」と聞かれたことを知ったからだ。その時、娘が自分と同じ道をたどるのではないかと恐怖を覚えたという。子どもを守らなくてはいけないという思いにかられた。
そして、2016年3月13日、バコさんが35歳、夫が61歳の時である。その日に売春をさせられた客はとても乱暴だった。行為を拒否したところ客は出て行ったが、そのことを夫がひどく怒って怒鳴ったと言う。状況を説明しても聞くことなく怒鳴るのをやめなかった。怒鳴り声を聞いているうちに、これが続いたらこの後どんな暴力が待っているのだろうという恐怖に襲われた。もしかしたら子どもにも危害がおよぶかもしれない。
そこで、ハンドルを握る夫の首の後ろめがけて、夫のピストルで撃ったのだ。それでも、バコさんは夫がさらに怒って襲ってくるのではないかもしれないとおびえた。車から離れ家に帰り、子どもたちに全てを告白した。それを聞いた彼女の子どもたちはこういった。「お母さん、心配しないで。僕らはお母さんを助けるよ。」そして、車に二人の子どもと戻り、夫の死体を森に埋めたのだ。
それから1年後、憲兵によって死体が見つかり、2017年10月2日にバコさんとその子どもたちは逮捕され、現在に至る。
夫は、バコさんだけではなく、夫自身の家族や知人にも暴力を振るっていたという。公判中に「なぜ20年間も、被害届けを出さなかったのか?」と質問されたが、暴力を振るわれていた彼女は、決してそんなことができる状態ではなかったと訴えた。それでも、「20年も届け出を出さないことが不思議だ。」と続ける裁判官に、暴力を受け続けると自由意志が持てない状態になることを、弁護士が説明する。
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