都議選公約分析「自民党」野党の立場は政党を真摯に成長させる?
Japan In-depth / 2021年6月30日 23時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・減税が政策として出てきた意外性が大きい。
・「都民視点」「未来志向」は〇、「政策としての基本要件」は成果指標や結果が見えない。
・小池都政計画の修正ではなく、野党としての大胆な提案に期待したい。
都議選恒例「都民ファーストの会公約分析」。今回は、自民党である。「命を守る。東京を動かす」というキャッチフレーズを掲げている。
■意外性:なんと減税がでてきた!
驚くことが起きたのは、減税が政策として出てきたことだ。邪推すると都内経済の回復を目的としたものと書かれているが、何かの布石なのかもしれない。
▲画像 【出典】自民党公約
正直言うと意外性に溢れていて素晴らしい。減税を言い出すことだけではなく、再生可能エネルギーの利用拡大、自然エネルギーといった環境政策、そして、オンライン診療などのホットトピックについての政策も掲げている。さらに、障がい者の雇用・就労支援、貧困・DV・児童虐待からこどもを守る、といったリベラルな施策を明確に掲げている。
▲画像 【出典】自民党公約
都市交通あたりには自民党らしさが垣間見れる。具体的に書かれていないし、イメージできない人も多いので解説すると
・羽田アクセス線:JR田町駅、りんかい線大井町駅、東京テレポート駅と東京国際空港をつなぐ
・新航空線:通称、蒲蒲線。東急多摩川線が、蒲田地下駅、京急蒲田地下駅を通り、大鳥居駅の手前で京急空港線に乗り入れ
・地下鉄8号線延伸:有楽町線、豊洲~住吉間
・大江戸線延伸:都営地下鉄大江戸線が大泉町・大泉学園町を通り、JR武蔵野線東所沢駅へ延伸
・多摩モノ延伸(箱根ヶ崎・町田):多摩都市モノレールが上北台~箱根ヶ崎間、多摩センター~町田間を延伸
*補足説明
▲画像 【出典】東京圏における今後の都市鉄道のあり方について
ということだ。交通インフラの拡充で、東京の交通インフラがこのあたりが具体的に書けるのは、さすがである。
また、デザイン、内容など以前よりかなり変わったことも事実である。「古い」政党ともいえなくなっている。与党時と違い、野党での立場がそうさせたのか、随分と世論に合わせて変貌した印象だ。
■3つの特徴
まとめると、3つの特徴にまとめられる。
①減税を打ち立てた
②子育て施策に新たにターゲットを絞る
③目新しさはなく、東京都の様々な計画にあることが載っているだけ
①は、個人都民税だけでなく、事業所税についても50%減税をうたっている。どうしたのだろうと思うほどであるが、コロナ禍での経済の深刻な状況を踏まえた画期的な問題解決策ともいえるだろう。
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