逮捕の観客「自分の愚かさ恥じる」ツール・ド・フランス大転倒事故
Japan In-depth / 2021年7月3日 18時0分
Ulala(著述家)
「フランスUlalaの視点」
【まとめ】
・ツール・ド・フランスで大規模クラッシュ。原因は、道にはみ出た女性のプラカード。
・女性が出頭し、主催者は被害届取り下げ。警察は厳しく対処する方針。
・安全確保をめぐり、選手側が主催者側に対して怒りの声も。
日本でも、大きく話題になった、ツール・ド・フランス初日に起こった大規模なクラッシュ。その原因をつくったのは、道からはみ出しながら自分が持っているプラカードをテレビに映してもらおうとしていた観客の女性だ。このプラカードのせいで選手が衝突し落車したが、しかしなんとその女性はクラッシュ後、姿を消したのだ。(参照動画:GlobalCyclingNetwork twitter)
その後、女性の捜索が始まったが、警察が目撃情報を募集したFecebook上に届いた4000件以上のコメントにとどまらず、この非常識な行動をする女性に対して、世界中のSNS上やメディアで非難が大きく広がり各国で話題になった。しかし、最終的には女性が警察に出頭し罪を認め、ツール・ド・フランス主催者側も、執拗な追及を鎮静化させるためにも被害届を撤回するに至った。
■ 大規模なクラッシュを引き起こした観客の女性
事故は26日、ブレストからランデルノーまでの第1ステージで発生した。テレビを通してメッセージを送るためにプラカードをテレビの中継カメラに向けていた女性は、背後から選手の集団が向かってきていることに気が付いていなかったのだ。しかし、固まって走ってきている自転車同士の間隔は、ほぼ詰まった状態であり、道幅ギリギリまで広がって走行しているため、前方に障害物があったとしても選手側がよける手段はない。そのため、先頭付近を走っていたチーム・ユンボ・ビスマのトニー・マルティン(ドイツ)が、道路にはみ出していたプラカードにぶつかって落車。そこからドミノ倒しのように後方の他の選手も次々に転倒したため、大規模な事故に発展したのである。
この大規模クラッシュにより、チームDSMのヤシャ・ズッタリン(ドイツ)をはじめとする、4人の選手が頭部の外傷、肋骨骨折、手と腕の骨折など大けがをし、リタイアを強いられた。また、他にも観客を含めた数十人が負傷。しかし、問題となった女性は、事故後失踪。自ら警察に出頭して罪を認めたのは30日のことで、それは事件から4日も経った後のことだったのだ。
プラカードにはドイツ語で「おばあちゃん、おじいちゃん」と書かれていたことから、この観客はドイツ出身だと考えられていたが、逮捕された女性はフランス国籍をもつ30歳だと判明。プラカードの文字は、祖父母にメッセージを伝えるためだったようだ。現在、彼女は自分がしたことを恥ずかしいとし、深く反省している。
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