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人口減の中国「寝そべり族」出現

Japan In-depth / 2021年7月9日 11時0分

さて、今年(2021年)5月31日、中国共産党は、今後1カップル「3人までの子供」を承認した。新生児数が年々減少傾向にあるための措置である。





1979年、中国では1カップルにつき1人の子供しか産み育てる事ができない「一人っ子」政策が開始された。そして、2014年までの35年間、ずっと「一人っ子」政策が継続された。その間、様々な問題が噴出している。例えば、女性への強制的人工中絶が行われたり、あるいは、戸籍を持たない「闇っ子」が生まれたりした。





2016年、中国共産党は、1カップルが2人まで産み育てる事のできる「二人っ子」政策を導入している。けれども、その甲斐もなく、子供は増えずに、逆に減少した。





『地産鋭観察V』の記事「人口出生率断崖式下跌,対楼市意味着什么?」(2021年3月4日付)によれば、2000年以降、2016年には新生児が1,786万人で、1番多く誕生した年となった。だが、2017年には1,723万人、2018年には1,523万人、2019年には、1,465万人と減少し、2020年は1,004万人(?)まで激減した。昨年は、前年比461万人減で、31.5%も減少している。





ジャーナリストの中島恵氏は、中国の新生児減少には次の要因が考えられると喝破した。 (1) 物価・生活費(不動産・教育費など)の高騰、(2)ライフスタイル、人生観の変化、(3)結婚率の低下、晩婚化、である。





2017年、北京大学中国教育財政科学研究所が実施した調査(『CRI』「中国家庭教育支出調査『収入は教育需要に影響』」2018年1月15日付)によれば、「全国の就学前教育と小中学生教育の一人当たりの年間平均支出は8,143元(約14万円)で、中でも農村部は3,936元(約6万8000円)、都市部は1万100元(約17万4,000円)」にもなったという。





また「小中学校段階の学生による塾など校外教育の参加率は47.2%に達し、塾の学生の一人当たり年間平均支出は5,616元(約9万7,000円)」だったという。





ごく最近、中国共産党の政策に真っ向から、抗う若者達が登場した。「寝そべり族」(「躺平族」。あえて頑張らない生き方をする若者)という“新人類”である。









▲写真 テレビゲームをする中国の若者(イメージ) 出典:Robertus Pudyanto/Getty Images





彼らはマンションを買わない、車も買わない。結婚をしない、子供も産まない。そして、ほとんど消費しない。最低限の生活を維持し、他人の金儲けの道具になったり、搾取の奴隷になったりしないようにする。





彼らは、アルバイトをして、ぎりぎりの生活維持をしながら、ゲーム等、自分のやりたい事をして過ごす。決して大きな夢や野望は抱かず、慎ましやかに生きて行く。ある意味、自由、気ままなライフスタイルと言えよう。他方、見方によって、このライフスタイルは、「非暴力による政府への抗議」と言えなくもない。





中国共産党は「寝そべり族」の生き方を非難する。だからと言って「もっと一生懸命に働け」とは命令できない。彼らの生き方は法に抵触する訳ではないので、同党としても、簡単には彼らを収容所送りにできないだろう。今後、こういう若者が増加すれば、中国の経済成長が見込めないし、国力が衰退するのは間違いない。政府としても頭が痛いのではないか。





トップ写真:中国共産党100周年式典。スクリーンの中の習近平国家主席のスピーチに耳を傾ける人々(2021年7月1日 北京) 出典:Kevin Frayer/Getty Images




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