中国とはどんな国家なのか その１ 共産党政権の秘密性が生んだコロナ大感染

【なぜ中国の透明性の研究が必要なのか】

中国で発生した新型コロナウイルスは全世界に前例のない破壊的な被害と危機をもたらした。数えきれないほどの人間の生命の喪失、未曽有の経済的な打撃は明白である。このような惨劇は二度と起こしてはならない。

そのためにはこの大感染症がどのように発生し、どのように拡散したかを調べることが不可欠となる。だがその調査に立ちはだかるのは中国の秘密性、不透明性なのだ。

コロナウイルス感染は米中関係の一大転換点ともなった。アメリカは官民ともにコロナウイルス感染に対する中国共産党政権の責任を問い続けることとなった。アメリカ側では中国政府に対して、単に公衆衛生だけでなく、政治や法律や人権、外交政策などまでに関して、責任と透明性を求めるにいたったのだ。

わがヘリテージ財団はこの点に関して総力をあげて、『中国透明性調査プロジェクト』を開始した。中国政府の活動について公表されるデータをアメリカ側官民の組織が非公式に得たデータと照合して、表明と現実とのギャップを照らし出すことを目的としたプロジェクトである。

▲写真　コロナワクチンを接種する住民　中国湖北省武漢（2021年6月9日）　出典：Photo by Getty Images

中国共産党政権はいまや国内的には弾圧を強め、対外的には危険な膨張を重ねて、アメリカにとっての脅威、全世界にとっての脅威ともなってきた。だからその政権の実態を探ることはアメリカの国益に合致する。ただし調査の対象はあくまで中国の共産党政権であって、国民一般ではない。中国の国民を敵視はしていないのだ。

中国共産党は2021年に創設100周年を迎えた。習近平主席はじめ同共産党の首脳たちはこの機に自由世界への野心的な拡張を改めて決意しているようにみえる。アメリカ側にとって中国の不透明な幕の内側にある真実の姿を知ることは、効果のある対中政策の形成にはますます不可欠となるわけだ。

中国共産党政権は実際に証明されたこれまでの歴史でも自国民に対して事実を隠し、操作し、偽装することを何度も実行してきた。いまの世界ではどの国の政府も一部の事実を非公開、つまり不透明にする作業は実行している。だが中国共産党政権の場合は特殊であり、極端なのだ。

その理由は第一に中国共産党政権は自己の支配の継続こそが最高至上の目的であり、独裁支配の保持にかなうためにはあらゆる分野の事実やデータを隠し、ゆがめることが最優先されるシステムができていることである。

第二の理由はいまのアメリカにとって最大の競合国とみなす中国政府の実態を知ることが未来のアメリカ国民にとって致命的な重要性を持つことである。だから中国政権の本質である不透明性について知ることがアメリカの将来の国運にもかかわってくるといえるのだ。

（つづく）

トップ写真：中国共産党創立100周年を祝うアートパフォーマンス中の習近平大統領を示す大画面（2021年6月28日）　出典：Photo by Lintao Zhang/Getty Images