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「中国ウイルス」の呼称は禁止なのになぜ「インド型」はOK?

Japan In-depth / 2021年7月24日 19時0分

「中国ウイルス」の呼称は禁止なのになぜ「インド型」はOK?


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)


【まとめ】


・メディアに「中国(武漢)ウイルス」と呼ばない自己規制あり。


・一方、「インド(イギリス)株」は使用されるという、ダブルスタンダード。


・特定の病気を地名や人名と結びつけて呼称することは至極当然。


 日本国民をなお苦しめる中国の武漢発の新型コロナウイルスを「中国ウイルス」とか「武漢ウイルス」と呼んではならない、という自己規制は日本の主要メディアではなお強いようである。



▲写真)新型コロナウイルスワクチンの接種を待つ住民の列 中国 武漢市 (2021年6月21日)


出典)Photo by Getty Images


特定の疫病をたとえ発生国であっても、その国や地域に結びつける命名はその国や国民への偏見とか差別につながる、という理屈のようだ。ところが最近の日本のコロナ報道をみてほしい。


NHKでも朝日新聞でも、その種の「人権配慮」を売り物にする主要メディアは同じコロナウイルス報道のなかで「インド型」「イギリス型」という呼称を文字通り、連日連夜、堂々と使っている。



みな同じ中国発の新型コロナウイルスの変種、ちょっと変わったタイプを指しているのだ。そしてその名称はその発生が顕著となったインドやイギリスの名を明記して、「インド株」「イギリス種」などと呼んでいる。



あれっ、特定の疾患に特定の国名をつけることはその国や国民への差別にはならないのか。そもそも「インド型」も「イギリス型」もみな中国で発生したウイルスの変種ではないか。


だがその発生源の国名は出してはいけないとのスタンスの上で、そこから派生した同じウイルスの変形には平然と国名を出すのである。なぜ中国の国名を出してはいけないのに、インドやイギリスはよいのか。



これはよく言って、二重基準、率直に言えば、偽善である。


昨年春、新型コロナウイルスが日本で大感染した時期、NHKでは「中国ウイルスという呼称は使ってはならない」というキャンペーンを打ち上げているようにみえた。例えば、日本文学研究のアメリカ人、ロバート・キャンベル氏を時事問題がらみの番組に登場させ、中国への忖度そのもののような意見を述べさせていた。


「『中国ウイルス』『武漢ウイルス』という人は民族差別であり、世界の分極化を先鋭にさせている」


ではキャンベル氏にあえて問いたい。


「インド株」とか「イギリス株」という呼称の使用は民族差別にはならないのか。世界の分極化を先鋭にさせないのか。


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