中国とはどんな国家なのか その2 信頼できない経済データと環境情報
Japan In-depth / 2021年7月25日 19時0分
中国の国家統計局のデータは貿易やデジタル経済にいたるまで広範だが、他の諸国の同様の機関にくらべると、その正確さや透明性ははるかに劣る。貿易のデータこそ他の諸国との整合が求められるために、中国当局としても透明にせざるをえないが、他の領域では不透明や歪曲が多い。
だから中国への投資を考える外国の企業などは中国の経済や市場については、中国側の統計には依存はできない。アメリカにはその中国の経済の実態をかなり正確につかんでいる調査や研究の機関は複数、存在する。
中国の国家統計局の経済データは消費、賃金、雇用などについてはわりに透明だといえるが、中国経済全体で重要な役割を果たす国有企業に対する政府の管理の実態となると、まったく情報がない。たとえば中国政府から国有企業への補助金の実態についてはほとんど情報やデータはない。地方政府の管理する公有、公営の企業の債務についても情報は皆無だといえる。
さらに重要なのは中国経済の効率が非常にわかりにくい点である。通常の場合、一国の経済の効率はその国の労働、資本、技術の実情と実際の生産性をくらべることによって測れるのだが、中国の場合は不透明なのだ。その経済効率が決して高くないことは中国での工業製品の恒常的な過剰生産からも推測できるのだが、実態がわかりにくい。
以上が中国の経済の不透明性についての報告の要旨だった。
次はエネルギーと環境についての報告である。
【 エネルギーと環境 】
エネルギー政策と環境問題は厳密には二つの異なる分野ともいえる。だがその両者の間には相関関係も存在する。エネルギーの生産と使用は環境の質にポジティブ、ネガティブ両方の影響を及ぼす。環境政策はエネルギーの資源の開発や利用を動かす。両方とも人間の福祉への重要な指針となるのだ。
中国でも国民の生活にはエネルギーと環境のデータの透明性や信頼性は欠かせないはずである。だが現実には大気や水の汚染は国民に深刻な健康問題を引き起こし、労働生産性の低下や居住問題を招いてきた。
▲写真 中国・北京(2017年) 出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images
自由経済の下では所有権、法の統治、透明性、責任追及制度、技術革新への奨励などが確立され、環境の改善につながっている。しかし中国のような不自由の経済制度の下ではその種の法律や責任制度は政府と共産党の権威に握られ、利益背反を生んで、公正に機能しなくなる。
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