ペルー、急進左派政権発足でケイコ氏ピンチ
Japan In-depth / 2021年8月2日 23時0分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・カスティジョ新政権の政策にペルー経済界では不安増す
・憲法改定に向け国民投票実施を目指す新大統領の動きにも注目
・選挙敗北に加え、新たな検察の追及に苦境に立つケイコ氏
■当初の強硬発言を修正-カスティジョ新大統領
ペルーではこのほど、6月6日の大統領選決選投票の結果、急進左派政党「ペルー・リブレ」(PL)のカスティジョ氏の勝利が最終的に確定し、7月28日の独立記念日に新政権が発足した。同決選投票をめぐっては対立候補だったフジモリ大統領長女ケイコ氏が開票不正を訴えたため選管の最終結果公表が大幅に遅れ、「勝者不在」という異常事態が続いていたが、7月19日カスティジョ候補の当選が公式に宣言され、約1カ月半に及ぶ混乱に終止符が打たれた。
▲写真 ペドロ・カスティジョ氏(2021年7月19日) 出典:Photo by Ricardo Moreira/Getty Images
当面の焦点は新政権の具体的政策だ。カスティジョ氏は当初、社会主義色の強い公約を掲げたが、その後より穏健な政策を口にするようになった。大統領就任演説では従来の自由開放経済からの転換を示唆する一方、以前唱えていた資源・インフラ産業国有化については否定し、鉱業分野の課税強化、企業との契約見直しに言及するにとどまっている。
また、自分の政党PLの綱領では「マルクス・レーニン主義を掲げる」と明記されているが、カスティジョ氏は「私は共産主義者ではない」と強調している。こうした同氏の“変身”について「PLの創設者で、現在同党書記長として実権をふるうセロン氏(元フニン州知事)から、カスティジョ氏は距離を置こうとしている」との見方が伝えられる。しかし、ペルー経済界では新大統領の政策への懸念が広がる。「市場経済への国家の関与を強める意図があるのは確実」(ペルー最大の民間銀行「バンコ・デ・クレディト」幹部)といった声は一向に消えない。
■憲法改正に強い決意
PLの動向に詳しいペルー・カトリカ大の政治学者によれば、カスティジョ新大統領が目指すのは、社会主義や共産主義ではなく、ボリビアのモラレス元大統領の民族主義的な左派路線だという。モラレス氏は2006年から13年間ボリビア大統領を務め、反ネオリベラリズムを掲げ基幹産業の国営化政策などを推進し、反米強硬外交を推進したことで知られる南米の“カリスマ”政治家。
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