オリンピックと中韓のSNS
Japan In-depth / 2021年8月11日 23時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
「澁谷司の東アジアリサーチ」
【まとめ】
・五輪で中国を破った日本人選手が、SNSで中国人から攻撃を受けている。
・中国共産党は、同党に対する批判以外の中傷はしばしば“野放し”にする。
・「民主化」した韓国の若者は、批判に対し擁護するなど新しい動きも。
今年(2021年)8月8日、コロナ下での東京オリンピックは、無事閉会式を迎えた。7月23日の開会式から17日間にわたり、各競技で熱戦が続いた(野球・ソフトボール・サッカーは同月21日に開始)。そして、様々なドラマを生んでいる。
開催前、東京五輪開催「反対派」が多かった。しかし、連日、日本選手の活躍(金メダル獲得数では、米国、中国に次ぐ第3位)で、「反対派」が“手のひら返し”をしている(『読売オンライン』「五輪開催『よかった』64%…読売世論調査」8月9日付)。改めてスポーツの力をまざまざと見せつけた。
さて、数々のドラマの中で、7月26日、卓球混合ダブルスで水谷隼選手と伊藤美誠選手の勝利を挙げる方が多いのではないか(『朝日新聞デジタル』「五輪、最も印象に残った競技は『卓球』朝日世論調査」8月8日付)。卓球個人戦や団体戦では、依然、中国の壁は高く厚かった。だが、混合ダブルスで日本選手が決勝で中国ペア(許昕・劉詩雯ペア)を撃破し、金メダルを獲得したのである。歴史的快挙と言っても過言ではない。
問題は、この勝利に対してSNSで水谷選手や伊藤選手を攻撃する人達がいた。主に、中国人ネットユーザーである。水谷選手が「ボールに息を吹きかけた」、また伊藤選手が「自らの手で卓球台を拭いた」などの反則行為を行ったという中傷だった(『The Digest』「『ミズタニはボールを吹き、イトウは台を触った』と批判も!? 中国で日本の混合ダブルス金メダルに不満の声【東京五輪】」7月27日付)。
確かに、水谷選手と伊藤選手が審判から警告を受けてもおかしくないシーンがあった。だが、一方、中国選手団は、許昕・劉詩雯ペアが苦戦していると見るや、「加油!(頑張れ!) 」と大声で応援していた。これも、本来ならば警告を受けてもおかしくない行為だろう。自国選手が負けた腹いせに、(自国選手のみならず)相手国の選手も罵倒するのは、いかがなものだろうか。
同28日、体操の個人総合で、橋本大輝選手が最終演技者となった。橋本選手は、演技で得意の鉄棒を残していたのである。同選手は、ほぼ完璧な演技を披露し、中国選手(肖若騰)を抜いて、逆転で金メダルを獲得した。
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