中国核ミサイル原潜の脅威
Japan In-depth / 2021年8月14日 23時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・中国弾道ミサイル原子力潜水艦が米国の監視対象となってきた。
・開発中の096型原潜、数年後には米本土直撃する可能性があり。
・反核の声はまず中国や北朝鮮の核兵器に対して向けられるべき。
米中両国の対立が激しくなるなかで、中国の長距離核ミサイルを発射できる弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)の存在がアメリカ側の官民の真剣な監視の対象となってきた。
中国軍各部隊のうち、海洋からの長距離核ミサイルが可能の唯一の艦艇だとされるこの094型(中国側名称・晋級)潜水艦は、つい最近南シナ海などでの航行を終えて、海南島の基地に帰投するところをアメリカ側の偵察衛星によりそのイメージを捕捉された。その結果、アメリカ側での中国軍の核戦力増強への警戒を一段と高める契機となった。
ワシントンの民間の有力研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」は8月4日、中国南部の海南島の人民解放軍海軍の楡林基地に094型原潜(SSBN)1隻が帰投する光景を人工衛星の偵察で映した映像を公表した。
CSISの発表によると、この帰投の映像は7月8日の撮影で、さらに7月15日にはこの原潜が同型のもう1隻の094型とともに楡林基地の埠頭に停泊している光景が撮影された。同基地には4つの埠頭があり、094型がそれぞれ一つの埠頭に、さらに他の二つの埠頭には033型(SSN中国名称・商級)攻撃型原潜が1隻ずつ停泊していたという。
CSISでは中国海軍のこの094型原潜についてアメリカ側ではとくに警戒の必要があるとして、国防総省の情報などを基礎に以下の諸点を強調していた。
・094型原潜は現在は中国人民解放軍でも海洋からの核ミサイル発射が可能の唯一の艦艇であり、中国側はこんごその増強を図ろうとしている。
・中国の核戦力はこれまで陸海空からのそれぞれ発射可能なアメリカやロシアとは異なり、地上発射だけに依存してきたが、こんごは海洋発射をも目指している。
・中国海軍は2000年ごろから合計094型4隻、改造された094A型2隻を建造してきた。最新の094型推進式は2001年4月で、習近平主席もその式に出席した。
・094型はそれぞれ核ミサイル発射基JL2(巨浪Ⅱ)12を装備し、核弾頭を最大射程9000キロまで発射できる。
・南シナ海からだと巨浪ミサイルはアメリカ本土に届かないが、グアム島やハワイやアラスカは射程に入る。
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